2021.01.01
まだ誰も起きてこないリビングへ、足音を立てないように忍び込んだ。つま先の感覚がなくなっていくのを感じながら、窓をそっと、開けた。からからと音を立てて流れ込んでくる冷気が、ポポの濡れた唇に触れる。冬の匂いを嗅ごうと吸い込めば、肺の中がちくちくと痛んだ。
「雪だぁ」
こっそりこっそり、喜んだ。まだ父親も母親も、猫のクーアも起きていない。自分だけの一面の雪にポポははしゃいだ。窓に腰掛け、つま先を降ろす。親指で雪に穴を空けるだけでわくわくする。もし全身で飛び込んだら、雪にはどんな型が浮かび上がるんだろう。
――きっと私とおんなじ顔だ。
後ろに誰もいないのを確認して、ポポはえいっとジャンプした。
2021.01.04
「トウイくんは私の事が好きなのか嫌いなのか、全然わかんない」
「はあ」
彼女からの盛大に我儘なセリフに、僕は気の抜けたような返事をした。眉尻を下げて困ったような顔をしたのが気に障ったのか、ミコは鋭い瞳でぎろっと僕を睨む。そんなことを言われても、どうすればいいのか。きっと、彼女は満足する言葉を僕が言うまで待ち続けるのだ。こういう時の女の子ってとっても面倒くさい、と女三人・男二人の家庭で育った僕は思う。
「どうしてそう思うの?」
僕はたまらず言った。さっさと帰って、宿題やってアイスを食べながらゲームしたい。数秒前のこの問いかけが、長い放課後の幕開けになることも知らずに。僕は彼女に問いかけた。