「おめでとうございます! 一等の景品はグアムへの旅です!」
鐘の音と共に、俺は大口を開けて「マジか」と呟いた。動揺で震える俺の手を、赤い法被を着たおっさんが嬉しそうに固く握る。どうぞ! と満面の笑みで渡された景品のパネルを高々と掲げ、俺は喜声を上げた。
運がいい。
この時はそのくらいにしか思っていなかった。
「えっ、俺がですか?」
呼ばれて何事かと思えば、部長より昇進の知らせ。その後も、密かに好意を抱いていた同僚から飯に誘われ、いよいよ俺は舞い上がった。
「ついてる。ついてるぞ……」
だけど俺は、喜びに浮かれて階段を踏み外した。その時に気づいたんだよ。
ついてきたのは運じゃなくて、死神だったって。