「さ、どうぞ」
そう言って安佐子が机に出してきたのは、リボンのように捻られたクッキーの山だった。この中に己の明暗を分ける御神籤が入っているのだという。僕は興味なさ気に受け取ると、真ん中から割って中に入っていた紙を広げる。
そこには――『すき』の二文字。黙ってもうひとつ割ってみると、その御神籤にも『すき』とある。もう一つ、その次の中身にも、同じく「すき」。
すき、すき、すき。
「もしかして……」
僕が怪訝な顔をすると安佐子は口元を隠し、
「全部に隠しましたわ」
そう言って笑う。からかっているのか。本気なのか。そんな悪戯なクラスメイトを可愛いと思う、僕の鼓動は隠しきれない。