※百合作品です。
私は、はっきりさせたかったんだと思う。言葉で満足するようなタイプじゃないし、相手は小心者だってわかってたから。
それでも確かな物が欲しい時ってあるじゃないですか。
六月も終わったのにいつまでもすっきりしない空から、ぽつり、ぽつりと零れてくる雨が小柄な私の頬にもぶつかるのがわかる。隣で見上げる彼女の頭はとうに濡れているのだろう。
「ジユさん」
名前を呼ばれて振り向いた。私の好きな人の睫毛に、器用に雨が乗っていた。
「もう少し、一緒にいてもいいですか」
唇が震えている。どうしてやろうかと思ったが、今は良しとしようと思う。
「いいよ」
私はまた前を向いて、彼女の右手を手繰り寄せた。