あれから色々と考えた私は、本来の世界にいた自分も今ここにいる自分も同じ自分なのだから何も変わらない、私は私である、というスタンスを持つことにした。表面上は、だ。

決別なんてする必要は無かったのだ。簡単な事だった。誰かに助言を貰うことでここまで心が軽くなるなんて思わなかった。否、赤井秀一と工藤新一だから説得力があったのだろう。
運命なんて信じないが、自分の上司且つ物語の最重要人物と、主人公からの核心的助言、これは必然だったのかもしれない……………


と、思うことにして、自分を無理矢理納得させた。


そうでもしないと、私は安室透、いや降谷零にどう接すればいいのか分からなかった。

「受け入れるが応えはしない」

結論は、これだ。これしかない。


というわけで、いざ安室透の想いと向きあってみる。はてさて安室透という男を私はどう思っているか。考えた。安室透とは、


容姿端麗才色兼備なストーカー。である。


「………」

なにこれ。ストーカーのくせに美男って何それ。


だが彼の事を思い出すと思い浮かぶのは睫毛と唇。惚れさせるという言葉、そして私が帰国した時の長ったらしい説教をしつつも心配そうに細められる目。


「……もし私が本当にこの世界の登場人物なら、」

どう思っていたのだろうか。
私が見ている安室透とは、漫画の中の彼なのか、私と同じ時を生きる一人の人間なのか、分からなかった。


ーーー

「話があると僕を呼び出すとは珍しい」
「言いたいことがあって」
「その様子じゃ…あまり期待しない方がいいのかな」


ふぅ、と肩を落とす彼をじっと見る。


「ありがとう、私を好きになってくれて。でも、ごめん、私は応えられない」
「……理由を聞かせてくれませんか。僕は貴方が、どこか遠くを見ているような気がする」
「!」

驚いた。こんなに鋭いとは思わなかった。

「未練があるとか、他に想い人がいるとか、そういう次元でなく、貴方にはどこか壁を感じる。踏み込ませない領域、みたいなものが」

核心を突いてくる彼に思わず顔が歪む。


「僕が嫌いですか、それとも人間を信用できないとか、」
「違う。私は私を守るため誰の想いにも応えない」


思わず、本音を言ってしまった。