「なぁ!聞いて聞いて!!」
「あら」
「まぁ」
にこにこといつもの様に笑ったAAAはナミとロビンに2日ぶりに声を聞かせてみせる。
「声変わりしたのね」
ロビンの言うとおり、AAAはいつものソプラノではなく声変わり後の男らしさに満ちた甘くかっこいいバリトンになっていた。あの軽やかで華やかなソプラノが恋しいわけではないにしろ、AAAの年齢的には妥当な声変わりだ。
1週間前から喉の調子が良くないとチョッパーにみてもらいながら個別に用意してもらった部屋や病室で安静にしていたが、彼が成長している証だけでよかったと気を揉んでいたナミは胸を撫で下ろす。
「そうなんだ、チョッパーには迷惑かけちゃったよ…。」
「風邪じゃなくてよかったじゃない。…で、それは何かしら」
「サンジだよ」
それはわかるわ、とはナミの言い分だ。AAAの年に見合わない細腰にくっついているサンジが「うおぉぉんなんでだぁああああっ」と叫び声をあげている。ずるずる引きずられる形でナミやロビンの前にきたAAAの精神と力の強さは麦わらの一味らしさであるようにも思われる。
「ぼくの声が変わっちゃったのがショックだったみたいでさぁ、さっき一番に風邪じゃなかったって報告したらこの有様。」
「女の子の!!女の子のAAAちゅぁんは!!どこえ!!!うあぁああっ」
「さっきからずーっとこんな感じ。サンジィ、ぼくは元から女の子じゃないから」
AAAは故郷の古めかしい風習で女の子らしい服を着た、線の細い男の子だ。船員らしい力強さはもちろんあるが、声も高く、笑顔も花がぱっと開くように可憐であり、身長は年齢に見合った高さではあるもののナミより年下の男の子のため気にはならないその姿は、どこからみても女の子だ。
今日も今日とていつもとかわらずフリルやリボンのついたいかにも典型的なお人形さんみたいな女の子ですといった服を着て、薄らされた化粧もいかにも女の子の好む可愛らしいそれ。故郷を出てからも続けていて、AAAが適応年齢になるまで続くらしいそれはあと一年しないうちに終わってしまうらしく、AAAは故郷との繋がりが薄まることに少しばかり寂しそうでもあった。
この嘆き元であるサンジはAAAが男だとわかってはいたが、見た目も仕草も「女の子」そのものだったためにAAAはAAAという性なのだとして接していたため、船にさく美しい華が減ると喚いていた。
そうだったのは昨日まで。高い声は男らしくなってしまい、違和感は芽生えるがナミやロビンはAAAらしさが失われていないためそこまで気にするものではないと判断した。
というか、ひとりの男の成長の証なのだから喜ぶべきことだ。しかし、急な変化にサンジはついていけてないようで、おんおんと泣き続けている。
「一日話しかけてなれさせたらなんとかなるかなぁ」
AAAの発言にそれは色々とやばくないか?と思ったが、ナミもロビンもなにも言わなかった。
腰に引っ付いたサンジが僅かにぴくんと反応した気がしてAAAは首を傾げて見せた。
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