俺の足にキラキラしたウロコがついているのを見たからぽかんと口を開けたホサカくん、夕焼けに色づく顔がほのかに何時ものホサカくんと雰囲気を変えていてヒクヒクと口角が動いた。
「AAA、お前、バグラーだったのか」
「うん。ホサカくんもたしかバグラーだったよね?」
「ああ…。俺の名前は「穂坂」だ」
「うん、「ホサカ」くんだよね」
彼はため息をついて長い足でスタスタと俺の横まで歩いてきて勢いよく座った、長椅子が揺れて彼の髪もゆれる、ふわりとかおったホサカくんの匂いに鼻がムズムズして恥ずかしくなってしまった。じっとホサカくんにながめられるこの足に少し苦笑いしてしまう。キラキラしててきれいだけどもこの足も体もバイオーグ・バクも好きにはなれない。
「魚か」
「うん、泳ぎうまいよー」
「ふーん…」
「…」
ゆっくりホサカくんの手が俺の足にのびてきてウロコをするりと撫でる。穂坂くん(俺の発音がおかしいからホサカくんってなっちゃう)は俺と同じクラスのかっこいいおかっぱ男子だ、よく藤井(フジイ)くんや榎本さんや井本さんと居る。クラスでだって元気で人気で、俺とは違う強い人。
「くすぐったいよ」
「……不便なことないか」
「俺?うーん…乾くと歩けなくなるかな?それくらい」
「なら水常備しとけ」
「うん…」
水を常備するということは自分が魚なのを認めているようで嫌なのだ、魚は好きだでも魚になりたいとは思わなかったし自分の体にできたウロコはひどく珍しいようでよくおかしな大人に話しかけられる。今だって家族の送り迎えがないと学校にも行けない。ぐりっと唇を噛むとホサカくんの手が足から離れて俺の頬をなぞった、くすぐったくて小さな悲鳴をあげると彼は少し笑った。
「どっか行きたい場所、ないか」
「……コンビニ」
「は?」
「自分の足で歩いてコンビニ、学校、本屋、ゲーセン…」
ホサカくんの手がするすると落ちていき俺の手を掴んだ、ウロコがみえないようにしていた手袋がなんとなく邪魔なような気がして唾を飲む、ウロコに負けないぐらいキラキラした目が宝石みたいでくり抜きたい。体が震えた。
「俺が2秒で連れて行ってやる」
「………あはは、ホサカくんって変なの」
「…」
「俺なんて連れて行っても楽しくないよ、いっぱい変な人来ちゃうよ、ダメだよ…ホサカくん迷惑しちゃうもの」
「行くんだよ、AAA」
強引だ、でもなんとなく安心する。ホサカくんは手をグイッと一気に引っ張ると俺を立たせめくっていたズボンを元に戻し帽子もかぶせてくれた、カバンは勝手に持たれていて受け取ろうとしたらそのまま足が進む、手を引っ張られたまま歩む。
「ホ、ホサカくんっ」
「行くぞ。守ってやるから」
久しぶりに学校の外に自分の足で出たからか目があつくなった、ホサカくんが握っていた手を強くするから嬉しくて後ろから抱きついたのは余談だ。


戻る
TOP