俺の上司はショコラと言う名のチョコレートや甘いものが好きだ、それは食べない日がないほどに大好きだ。それに反して俺は甘い食べ物は受け付けにくい味覚をしている、どちらかといえば辛い方が好きだ、あと塩辛いもの。目の前に出された甘い名前の高級なトリュフチョコレートに喉の奥が鳴った、悲鳴に似ていた気がしないでもない。
俺の上司・ジャン=ルイは上でも述べたように極度の甘党だ、スーツをきっちり着こなし髪をオールバックにして仕事をテキパキこなす素敵な弁護士、酒が飲めずチョコレートを愛し周りに頼られるムッシュウだ。今日は彼の家に招かれた為に髪はオールバックではないしスーツでもない、部屋着に気の抜けた髪型でいる、向かいの席に座る彼の目はやはり俺を見ている。
「いや、だから、俺は結構ですって」
「AAAが買ってきたショコラだ、美味しいよ」
「それは、まぁ一応同僚にオススメは聞きましたし……。でも、俺はいいですから…」
彼はにまっと笑ってショコラを俺の唇に近づける、鼻をかすめる甘い匂いに頭がくらくらしそうだ、細い指に白い肌に溶け出したショコラがついているのがなんともいえないエロさを出しているのが男の俺からでもわかる。まあ、この人は俺にこんなことして楽しんでいるのだろうけど。
「さあ、溶けてしまう前に」
「うぐっ」
力強くおされてショコラは俺の口にすとんと入り込んできた、甘い味と匂いとが口の中に広がりなめらかな舌触りのまま喉を通り抜けていく、嫌な甘さとまではいかないが最近食べていなかったために寒気がした。お構いなしに彼はにこやかな表情を保ったまま二個目のショコラを手にとる。
「AAAにも甘いものが好きになってほしくてね」
「貴方らしくない発言ですね」
「だろう?私もそう思った」
返事をしようと口を開ければまたショコラが口に入った、苦い顔をすると彼はまた笑って指についた溶け出したショコラをふきとる。
「ショコラ、好きになれそうかい?」
「さあ、俺は辛いのが好きなんで」
目の前に3つ目のショコラが出された、それアンタへのお土産なんだけど。
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