「光の速度で蹴られたことはあるかい?」
声が聞こえて、ぴかり、と光ったときにはもう体は近くの建物にぶっ飛ばされていた。様々な悲鳴が聞こえるが、ぐわんぐわんと鳴ってあまりききわけられない。体中の骨がやられたような感覚に一瞬にして口から呼吸ができなくなり、ぐらぐら揺れる視界と砂煙で焦点は定まらず衝撃により感覚もつかめない。体制は立て直せないまま、次はどこから来るのだ、と精神を研ぎ澄ませようとしたが遅かった。ぴかり、後ろが光った。
「ぐぅっ」
「おォ〜。1億超えルーキーってェのは名ばかりじゃないみたいねェ〜」
「………ばけ、ものがっ」
「悪魔の実食ってないやつにしちゃァそうだろうな〜」
危機一髪で避けたものも、地面に勢いよくダイビングしてしまったため余計な怪我が増えてしまった。いや、しかし、ボルサリーノによって壊された建物に、よけなければああなっていただろうと、ゾッとしながらも立ち上がる。足がガクガクする。
船員は多分だけど副船長が逃がしてくれてるはずだ、そういう約束だから。目の前の私の中で結婚するならば誰がいい順位が一位の「化け物」に屈する気にはなれない、まだ生きていたいし海に居たいし航海もしたい。それに自身の無力さは知っている、悪魔の実なんてものは海が好きで食べなかったし、まず出会わなかった、無力だ、私は努力と奇跡と偶然のおかげで生きてこれたにすぎないのだから。化け物であるボルサリーノがサングラスの奥の瞳を細める。
「なんだい。まだ、立ち上がるのかァい?」
「もちろん、立ち上がるわ。私は船長よ」
「ナマイキだねェ…」
ぴかり、今度は目の前だと口角をつり上げながら剣を握った。
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