「ごちそうさまでした」
「お粗末」
すっぺりと綺麗に食べきられた料理に堂島は穏やかな表情を浮かべた。食べきった本人であるAAAは幸せいっぱいという風に表情を緩ませて、未だに纏わりつく余韻をふわふわと味わいつくしている。
「今日はどうだった」
「最高でしたぁ、もう、ほんと、大金叩いて予約したかいのある堂島さんの料理ですぅ」
「お前なら予約しなくても食べさせてやるぞ?」
「それじゃあダメですよ、やっぱりそういうことはしっかりしなきゃ」
それにレストランで作ってもらうわけじゃなく時間割いてもらってる訳だし?と言葉が続いた。
堂島の後輩であり、城一郎の後輩であり、極星寮の一員である。料理の腕は確かにあるのだが、イマイチこれと言ったものを作らないためか十傑評議会にも入らずじまいだった。しかし、試験では十傑評議会に選ばれた人を優に越す点を弾き出していた異質である。十傑に勧誘されていたらしいがその話もいつの間にか消えていた。それでも、堂島にとっては慕ってくれているかわいい後輩だ。
学園卒業後、料理関係のオファーは何件かきたそうだが本人のやる気が比例しないためにすべて蹴り倒して放浪生活を謳歌している。そんなところだけ城一郎に似たというやつだろう。金が無くなる真近にそこら辺のレストランや料理場で働き、金を稼いだら出て行くという自由奔放な点に関しては堂島も頭を抱えている。
「で?」
「で、とは?」
「今はどこにいるんだ、という話だ」
ああ、とAAAが声を漏らし、堂島の視線と絡み合わせるように自身の視線をついと移動させゆっくりと笑ってみせる。艶めかしい動きだと改めて感じながらも、そらすことなど堂島はしない。
「極星寮の一室を間借りしてます。ふみさんにブラブラしてるなら余ってる部屋使いなって、住まわせてもらってますよ」
「へぇ?珍しいな、お前が一定期間留まるなんて。」
「残念、まだ居座って2日も経ってないうちに堂島さんのとったお部屋にお泊まりです」
「誰も泊めてやるなんて言った覚えは無いが」
容易キッチンつきで大きなベッドと広いシャワー室つきの広々とした高級ホテルの一室を見回して、AAAはにいと笑う。泊めてやらないと言われようが、彼女には殆ど関係無いことなのだろう。男女の仲ではない二人にとって何かがあるわけでもないし、堂島も相変わらずかわいい後輩からのことを断れずじまいになることは優々と予想できていた。
「堂島さんは優しいから、泊めてくれるもの」
その言葉をとどめにグウと根をあげて堂島はAAAの頭を撫でた。了承の合図に似たそれは優しさの中にある子供扱いに似ている。
それを気にもしないでAAAはまた緩く笑みを浮かべ、朝ご飯も堂島さんのお手製ねと軽々しく口にしては堂島の後輩である自身だけの特権の優しさにどっぷりと浸ってみせた。


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