「……芥川ー……っとぉ?」
「AAA、入るならもっと静かに入ってこい。…芥川なら今日は来てないぞ」
「よぉ、團先輩。まじかよ居ないの?はァー、まじかよ」
ドタバタと吹奏楽部の部室に入ってきた部外者である俺に團先輩は眉間にシワをよせた。おー怖い。勢いよくダブル草川が背中に乗ってきたためグイッと力を込めて持ち上げる。結構、軽いんだよなダブル草川。両脇から楽しそうな悲鳴が聞こえてくる
「力持ちィッ!」
「おー、これでも運動部だし余裕だ。でよ、芥川まじで知らない?」
「さぁ?今日はまだだよ」
「日直じゃないの?」
日直か、なら出会わないわけだな。ダブル草川が猫のようにすり寄るのを確認しながら、グルグルと回ってやるとまた笑い声が上がった。なんだかよく分からないが、同級生とは思えないぐらいのフレンドリーさに毎回こんなことしてる気がしないでもない。小さいし軽いし父性ってやつかな?
「おい」
低めで心地好い声が耳に響く、両脇で来たよ!と声を上げられてしまいかき消えてしまったのだが…。回りながら顔をそちらに向けると、少々何時もより眉間にシワをよせた芥川が見えた。怒ってはいないようだ。
「お?芥川!おせぇよ」
「また、回ってるのか…」
「ちょっと待ってな芥川!あと5回まわったら終わるから゛ぁあっぐっ」
「離れろ草川達、AAA早く用事すまして部活行けよ。馬鹿が」
芥川の手が首をへし折る勢いでつかまれる、ダブル草川がきゃあきゃあ言いながら離れていくのが視界の隅で見えた。ゆっくりと後ろに引っ張られるようにして芥川に体を預ける形になる。
「いたいいたいいたいいたたただっ!」
「何しにきたんだ」
「漫画!読みたいって言ってた漫画持ってきたんだってば!痛いって!芥川」
「そうか、すまない」
「ん。」
芥川の手が離れた途端に両脇にダブル草川がいきなり立ち、先程と同じようになるように抱きしめられた。芥川に漫画を渡しながら二人をかまい倒していると、呆れた声の團先輩がため息をつきながら此方を向く。
「お前ら家族みたいだな」
「まじっすか」
「じゃあ私達は娘ね!」
「芥川がお父さんでAAAがお母さんね!」
「草川待って、性別に問題があるから待って」
「言い得て妙だな」
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