※若返りトリップ主



甘いお菓子が報酬だ、なんて馬鹿な報酬だけれど3時のおやつには丁度良い。カネとは別にもらえる報酬なのだから。
与えられた生クリームのカップケーキと甘く可愛らしいチョコレートを小さい口でほうばる幼女を蔑ろにしない奴はいないから、幼女らしく夢中ですというスタンスを崩さないように黙々と消費していく。
今回の報酬を与えてくれた、いわば、今回の任務を与えて来た奴はよく私を利用する男だ。それも、こちらに来る前によくテレビなどで見た泥棒。仲間にガンマンにサムライに稀に女泥棒。敵としては緩い立ち位置にいる日本人の刑事。そんな「キャラクター」たち。残念ながらこちらに来る前に熱中していたわけではなかったため、テレビでやる再放送や映画を流し見していた程度の知識しかない。本当に残念なことに。
「いやぁ、今回もありがとねぇ」
「お仕事だもの」
「でも危険な橋をわたっただろ?」
「さあ?」
幼女らしくないセリフをはきながらチョコレートを頬張る。とろり、とした甘い蜜のように口に広がるチョコレートはとっても美味しくて少し頬が緩む。泥棒はつれないなぁと呟きながらコーヒーを嗜んでいた。
裏社会の情報屋の大手さんに雇われていてカネが積まれて指名されればどこにだっていく派遣社員になっている幼女である私。仕事内容は情報提供を中心としながらも、屋敷のお掃除から子供の相手まで、春を売るなんてことがない意外にもクリーンである。見た目をロリータ服で固めているためにそういう趣味の方に好かれながら、仕事をこなしている。
「次のお仕事も頼んでいーい?」
「もちろん」
泥棒とは情報提供を主な仕事にしている。知っている作品なら先回りした、もちろんバレない程度の情報を少しだけ与えたりできるためか、はたまた元からある大手情報提供が素晴らしいのか、それともロリータ服の幼女趣味があるのか(そうであってほしくはないが、趣味ならばしかたない)、そういった仕事でご贔屓様だ。彼に頼まれた仕事はだいたいこなしているし、贔屓様を蔑ろになんてするわけない。信頼が大切な仕事なのだ。
「コイツのこと調べてほしいんだよ」
「えぇ」
「ついでにコイツも」
「2人?めずらしいこと」
見せられた写真にはこちらに来る前には見覚えがない男2人、私の知らない作品に出ているならば話は別だが映画的なルートではないのだろう。たぶん、おそらく。確かではないけれど。
「わかったわ、じゃあ期限はいつものように明日で?」
「悪いな、いつもいつも」
「あら?そう思うならこれも支払い、よろしく。じゃあね、ガンマンにもよろしく」
個人的に予約して買うつもりだったこの店でお持ち帰りだけで売られているストロベリーパイの伝票を泥棒に渡してさっさと帰り支度を済ませてしまう。店員が帰る私に気がついて持ってきてくれた白い箱は、ベリーの香りがふんわり漏れでていてぐんっと気分が上がる。いい。最高。口コミで聞いてるより香りが良くて、ついさっき実物を見たけれどゼリーのきらめきやパイの層が厚いのがよかった。
手を振る泥棒に軽く手を振り返して、ガンマンが隠れている(つもりの)席にパイを予約した客に渡されたキャンディの詰め合わせ袋から出した赤いキャンディをコーヒーに投げ入れ、足早に待たせていたタクシーに乗り込んだ。さて、お仕事。お仕事。


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