「お前が…っ!」

がんっと私の横スレスレの壁を叩いた何処かの対戦相手。2人の男と一人のマネージャーがこちらをギリッと睨んでいる。憎悪に軽蔑、恐怖に染まる目の色に私は少し笑いそうになった。先輩達の巣のはまった学校か、なんてぼおっと考えた。別に興味は無い。
彼らは私の前から退く気はないようだ。困った困った、古橋先輩に早く帰ってこい言われてるのに、さて、はて、困ったな

「…で、なんのようですか」
「はぁっ?!アンタ『霧崎第一』バスケ部のマネージャーじゃない!謝るとか無いわけ!?」

なんで謝る必要があるんですか。ぽろっと出そうになった言葉を抑えた。このマネージャー声と態度がうるさい。私は只のマネージャーだから、マネジメントするだけ。プレイにとやかくいえる立場じゃないし、とやかく言うにもちょっとルールもイマイチだし、ね?私、只雑用してるだけだし、そんな私がなんで謝らなきゃならない?関係ないじゃない ちらり

「謝罪が欲しければ、花宮先輩か学校にどうぞ。私は只のマネージャーですし」
「…え……学校にかけていいのか?」
「良いんじゃないですか?」

たぶん信用されませんけど。花宮先輩は頭良くて先生達から慕われてる。貼り付けた笑みにも気づかないで、先生達は良い子チャンで通っている。ほんと、ボロが出ないのがすごいよ… ちらり あの人根っからの天才だし、天才ならほかにもいるし、瀬戸先輩とか?あの人も頭いいしね… ちらり

「あ、古橋先輩じゃないですかー」
「……AAA、なにしてるんだ」

古橋先輩は顔色ひとつ変えず(まぁ、元からポーカーフェイスだけど、死んだ魚みたいな目してるけど、)に私と周りの奴らを見て登場した。さっきからちらり、ちらりと此方を見ていたクセに今気づきました、的な雰囲気醸し出す先輩に心の中で中指をたてておいた。ふむ、満足。突然、マネージャーが顔色を変えて走って行ってしまう。他の奴らも追うように走って行ってしまった。私は小首をかしげてみせる。

「気づいてたなら助けて下さいよ、先輩」
「お前なら大丈夫だろう」
「私女ですよ?御理解できてますか?」
「殴られたら、慰めてやろう」
「殴られること前提で話すの止めて下さい」

古橋先輩は少々表情を崩したような気がした。私にはわからないけれど、多分・花宮先輩とか他の先輩達なら解るのだろう。私はそんなコト思いながら会場に向かう。勿論、古橋先輩も一緒に。ぶわっとした熱気が会場についたとたんに漂った。瀬戸先輩が見えて、その横に目立つ原先輩も見えた。本当に座っているのに(何故か悪目立ちして)わかりやすい先輩達だなぁとゆっくりと足を動かす。

「お前が同い年なら良かったのに、な」

古橋先輩の声はダンクが決まったことによる歓声の中でも、ひっそりと私の耳に届いた。あ、それ私も思いました、なんて思いながらも座っていた花宮先輩に後ろから「だーれだ?」をして紛らわせた。もちろん殴られた。


戻る
TOP