「タネも仕掛けもございませぇん」
「…すげえな、お前」
はじめの出会いはりらが手品をしているところだった、後ろから見ているだけだったがつい声を発してしまったのが始まり。彼女はキョトンとした顔をした後すぐにきらりと瞳を輝かしてガバッと抱きしめられてしまった、柔らかい女性の身体が筋肉質の俺の体にあたったのが始まり。そこから互いにだらだらと(性的な意味は無い)関わり互いに友人のような奇妙な関係になった、今もそれをだらだらと引きずっているからりらはよく家(というよりかは山小屋に近いおんぼろ小屋)に遊びに来ている。以前、りら用につくった白い椅子に腰掛けて彼女は笑った。
「りら、来るなら先に言え」
「はーい、でもそう言いながらなんとなく察してケーキ買って来てくれるAAA大好き」
「ケーキが好きなだけだろ」
「でも、普段なら下町に下りないのに私のためにっていうのが好き」
「はいはい、わかった」
4つのケーキのうち3つを渡し綺麗なフォークと甘いジュースを渡す。俺はミスマッチだが、箸でいいだろう。お得意のマジックでりらは花瓶に花を咲かせ白いテーブルクロスをひいた、細い腕をのばし余計なことだが俺のフードをとってしまった。鏡に映った自分の怖く気持ちの悪い顔に眉を寄せる。
俺はりらとは違い「堕ちた」人間だ。はらいきれなくて半妖となった名残が身体半分に火傷のような痕を残した、もちろん顔も例外ではない。元々、顔は怖かったし背も高く筋肉がつきやすい体だったから「堕ちた」後は最悪だったと記憶している。逃げるよう(実際逃げた)に俺は町から立ち去り、遠く離れた人の来ない知らない山地でひっそり暮らしているのだ。
「そんなの気にしなければいいのに」
「…お前ぐらいだよ」
「AAAはお姉様と同じぐらいイイヒトなのぉ!」
「やめてやれ、お姉様が化け物と同じにされちゃ可哀想だ」
ぷくうっと頬を膨らました彼女は苺を食べてすぐにそのフォークを俺に投げつける、すぐにそれは彼女のマジックによって花に変わり髪に乗った。
「一緒に行きましょうよ」
「馬鹿が、ケーキ食って帰りやがれ」
ごちんっと頭をたたいてやればりらは懲りずに甘いジュースを飲んだ口で俺の爛れた方の頬をべろりとなめた、なんてことしやがる!という小さな悲鳴と寒気がしてりらの方を向いたが彼女はクスクス笑った顔をしたままゆっくり顔を近づけてくる。
「私のだぁい好きな、AAA」
「それはお姉様に言ってやれよ、りら」
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