「すまないな、また来て」
「いーや、別に暇だし。いいよ」
くすりと笑ってやればちょっと遅れて彼も笑う。
中に招けば、ツカサがすり寄ってきた。彼、三上脩は俺の幼なじみである。小さいとき隣の家に目が見にくい状態でやって来た餓鬼で、4つも上の俺は弟ができたみたいで嬉しくて警戒されまくりの中強引に仲良くなり、彼が有名小説家になった今でも交流は続いている。俺も今は丁度東京在住だから、同じく東京在住な脩の突然の訪問には快く受け入れている。
「なんの用だ?」
「いや、今なら夕飯にありつけるかと思って来た」
「うへぇ、まじかよ。今日の夕飯、結構雑だぞ」
「それでいい」
リビングで待てと言ったが後ろを付いて来たので仕方なく安全なところに立たす、隣に立ちたいと言ってきたからデコピンを1つ、ツカサが軽い頭突きを足にした。ため息をついてから卵4つに刻みネギに輪切りにしたウインナーに醤油、を油をぬったフライパンに入れ火にかけてから冷や飯を投入。雑な焼きめしの出来上がりだ、給料日前は基本これか惣菜で乗り切ることが多い。インスタントみそ汁をつけて机に置けば脩が笑う、俺の目を通して今やってることを笑っているのだろう。お子さまランチ用っぽい自作のはた(爪楊枝に紙をはって犬の絵をかいたもの)をたてる。
「ふふっ」
「笑うなよ、昔は喜んだろーが」
「小さいときはな」
「今でも喜べよ、脩くん」
「嬉しいよ、AAA兄さん」
照れたように笑う脩にキュンとしてしまうのはいつものことで、我ながら恥ずかしい。
4つも年が違うため中高と一緒になれなかった割に仲は良かった、脩が何かしら理由をつけては俺の家に来ることが多かった気がするし、先に上京した俺の元にも何回か同じ様に転がり込んできた。今の方が仕事に手をまわすから一緒には居れていない気がする、ここまで考える俺を幼なじみコンプレックスとでも言ってもらっても構わないだろう、たぶん。こんな雑な飯をおいしいおいしいと食べる脩ににやけてしまう。
「脩、今度さ一緒に買い物付き合ってくれよ」
「んっ……AAAと?いいよ、たぶん暇だし」
「ありがと」
俺はカレンダーを覗き込んだ。君と行けるならばどこだって楽しいだろう。やっぱり大概な幼なじみコンプレックスだ、俺は。
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