※漆黒映画後
「まさか、バーボ、じゃなくて、先輩が一緒に来てくれるなんて」
きゃあきゃあはしゃぎながらゲートを潜り抜けた先は煌びやかな水族館と遊園地が合体した、つい先日に大規模な事件があったあの東都水族館、その場所だ。未だに観覧車があった場所や改装工事がまだな場所は立ち入り禁止であり、目隠しにより見えないようになっている。それでもこんなにも早い復帰は客の足を減らさない素晴らしき金欲といえるのか、なんなのか。そう考えてしまう安室の思考にツッコミをいれてくれる人はおらず、ただはしゃいでいるAAAが少し先の方で風船をもらったことによりまたテンションを更に上げたことだけが現実として安室の瞳にうつりこむ。
「みてみて、バー…先輩。魚の風船!かわい〜」
風船独特の赤色をしたいびつな魚の形をした風船がかわいいかどうかは置いておくが、にこにこ笑っている彼女は随分とかわいらしいものだ。
「はしゃぎ過ぎるとあぶないよ」
「はぁい」
「わかってるの?」
「ふふふ、わかってますよ〜」
そう言いながらも子供にぶつかりそうになりふわふわかわして、くすくす笑っている。そのままこちらに戻ってきて、安室の眺めていた立入禁止ではあるものの空で回っている観覧車を見る。
「楽しくないです?」
「楽しい、とかじゃないだろう?一応仕事なんだし」
「なんにも無いんだし遊んだって文句は言われませんよ」
キュラソーの最期がここだったことと、組織の爆弾などが使われたことを理由に組織の者が後片付けをした。2人はその最後の確認でここに来たのだ。本来はキュラソーのことに全く関わらなかったAAAがジンから任された仕事なのだが、安室の私的とはいえ公安としての調査を黒の組織として行えるチャンスであったため「僕も手伝いますよ」と優しい先輩風をふかせた。疑い深いジンからの鋭い視線は変わらなかったが、AAAが嬉しそうに礼を言ってくれたためにすんなりと来ることができた。利用したAAAには悪いが安室も公安として組織の情報を掴まなければならない。
「片付けの仕事、だなんて建前ですよ?ほとんど組織の人がしてくれてますし、私の仕事はただ見て帰って何事もなかったことを報告するだけなんですから」
「一応見て回るでしょう?」
「そこは仕事ですしねぇ。でも!」
安室の目の前に移動してにっこり笑ってみせるAAA、周りからしたらデートを楽しむカップルにしか見えないはずなのに安室には組織の一員として真っ黒にしか見えない。
東都水族館でのことを知らず、キュラソーのことを知らない。誰がどう攻撃して解決していたかも知りえない。そのため華やかな笑顔。
「楽しむことも大切ですよね!いきますよ!」
手をとられた安室は駈け出すAAAの後をついていくしかなかった。
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