「師匠の夏油傑とはどうだい?」

2週間に1回のペースである検査を終えて、よかったら世間話につきあってくれという家入さんの暇つぶしにお付き合いしていた時に、ふと思いついたように彼女は疑問をこぼす。
濃い味にまだなれない俺を気遣って白湯にしてくれた飲み物で喉を潤し、師匠となっている夏油先生をおもいえがく。
強くて術式の扱いも手早く周りもよく見て判断が早く気遣いもできて芯を持つ大人。五条先生と二人でいるとキラキラしてる、気がしいでもない。尊敬できる「特級呪術師」様だ。

「かっこいいですよね夏油先生。家入さんは同期にあたるんですよね?」
「そうだ」
「へぇ、素敵ですね」

もしかしたら俺も今の同級生、虎杖さんと釘崎さんと伏黒さんともそういった仲になれる未来もあるのかもしれないと、見えもしない未来に目を少し細める。
明日も見えぬ、もしや数時間後すらわからない身では考えなかった未来の話。五条先生にあそこから助けだしてもらって、やっと考えれるようになってきて、同級生も先輩も行ったことないところややったことないことを沢山約束してくれていてくすぐったくて仕方ない。次の休みに釘崎さんのショッピングに参加させてもらうのが一番近い約束だ。虎杖さんと伏黒さんは微妙な顔をしていたがよくわからなかったので後から聞くつもり。
この多い検査もこれまでしてこなかったツケがまわってきただけで、優しさでできていてちょっと照れくさい。

「大人でしっかりされてて、体術の重心の動かし方とかすごく尊敬してます。俺は体術がまだまだで…」
「まだ本調子じゃないから無茶はしないように」
「はい、ご心配をおかけしました。」
「で、クズのそーゆーのも聞いてて面白いんだが」
「面白いですか?」
「クズが頑張ってるなぁって結構面白いよ。弱味、みたいなのは無いか?ぬけてるとか、ここが気になる〜とか」
「弱味、ですか」

弱味じゃなくてもAAAがみてて面白いとかでもいいよ、と柔く笑って彼女は言う。とても綺麗な笑みだ。さらっとクズ呼びをされているが、そんなところは見たことないのでやっぱり聞くたびに驚いてしまう。
同期のなにかをにぎって、夏油先生をどうにかしようとしているのだろうか?言い方がよくないかな…。よくお酒をのみに行くとおっしゃってたからそれの話のネタや奢らせるきっかけにするのだろうか?わからないままうんうん考える。
なにか、あったか?思い出される夏油先生の姿はかっこいい大人ってだけ。五条先生と一緒になって子供みたいにはしゃいでるときもあるけれど、あれは同期で親友な五条先生と一緒にいる夏油先生の年相応の気軽さだろう。

「あ」
「お?なんだなんだ言ってみろ。私は優しいから他には黙っといてあげよう」

わくわくした表情を隠さない家入さんは体をこちらにグッと近づける。美人の距離の詰め方ではないだろ、と俺は少し仰反ってしまう。釘崎さんも禪院先ぱ…真希先輩も目前の家入さんも、キラキラした美人の距離の詰め方はとっても不思議だ。

「あはは、ありがとうございます。弱味とはちがうんですが、うーん、そのですね、この前任務のあとにご飯を奢ってもらったんですが、あー、いや、うん」
「で?」
「…はは、はー………夏油先生ってよく食べるじゃないですか、なんだかそれが、その、ちょっとですよ、ちょっと、かわいーなー、と……」
「…………か、わいい?」

家入さんが宇宙を背負った。
いや、釘崎さんに猫が宇宙を背負う画像を見せてもらって知っただけだから使い方があってるかはわからないけど、ぽかんとしている。あってるだろうか?たぶん間違ってはない、はず。鳩が豆鉄砲を食ったよう、の方が知ってる。
かわいい、が表現としてあってるかはわからないけれど、たくさん食べてる夏油先生はなんだか歳より幼く見えた。大人で男性に言うのは躊躇したが、思ってしまったのだから仕方がない。
かわいい?幼い?小動物感がある?しっくりこないが、そんな感じだ。
夏油先生は一気にかきこむわけでもなく淡々とペースを保ちもぐもぐぱくぱく食べる。ハンバーグレストランで小さいさっぱりしたハンバーグをゆっくりゆっくり食べていた俺に反し、がっつり大きめチーズのせデミグラスハンバーグとサラダとスープ2杯とパンを数個とデザートをたいらげていたその姿は、別次元に見えて感心してしまうほどだ。
よく食べるんですね、という世間話的な俺の言葉は、七海の方が食べるよ、というこれぐらいは普通だよと含ませた返事がきただけでおしまいになった。うーん、会話が難しい。

「ほぼ2mの筋肉クズ男が、かわ????」
「まぁ、はい。かわいい?幼い?うーん、いいな、とは思ったん、で、すが…。こんなのでよかったんですか?ね?」
「…………………………及第点かな」
「手厳しい」
「AAAは変な女を無意識でひっかけそうだな?また面白……げふん、なにかあったら教えてくれ」
「すごい偏見と本音が…」








ラブコメ()に巻き込まれるAAA
夏油傑には尊敬の想いしかない(BLになる場合絶対的攻めに位置することが決まっている)天然入った高専一年生。
この間までひとらしく生きてこなかったため、世間の常識や流行りになれるところからスタートしている。一年生みんなの中では末っ子扱い。
恋愛ごとについての経験は浅い

楽しい硝子さん
すでに久才からラブコメ()のことは聞いているため、楽しくて仕方がない。この後すぐにばらして酒のアテにしたし、悶絶する夏油をみて爆笑した。いいぞもっとやれ


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