釘崎野薔薇は口の中で蕩けるようになくなったマカロンをゆっくり時間をかけて味わう。
ふんわり香る洋酒と甘さ控えめのピスタチオとがつんとくるベリー。全部綺麗でおいしくて輝いていて幸せな気分にさせてくれる、写真をどれだけ撮っても撮り足りない気分になりながら一口一口確かめるように食べていく。
釘崎の手が止まらないことと、顔が歪められたりせず花開くように輝いているのを見てAAAはほっと息を吐いた。

「よかったぁ…。お店で一番高いのを買ってきたから味とか全く見てなくて…後から見たらお酒とかかいてあってどうしようかと」
「すっっごい高い味よ、ほんと、おいしくて綺麗とか強いわねこのマカロン。小さいのも売りなのね……はーなくなっちゃうの勿体ない。食べるけど」

どうしてAAAがマカロンを買ったのかを釘崎の頭はまた思いかえす。
AAAが祓う予定だった呪霊が増幅。予定外の数に四苦八苦しながら任務をこなしたが1匹逃しこのマカロンを取り扱っている店舗に侵入して備品を少々壊してしまったらしい。人には危害はなく大きな騒動にもならなかったものの、店舗のガラスケースは大破しみるも無惨な有様。こちらの世界に理解ある店員だったことと、AAAのせいではなく既に祓われた呪霊のせいであったため金は呪術師界隈の正式な寄付金として落ちるからと補助監督も気にしなくていいとAAAに伝えたらしい。が、AAAはそれはもう、申し訳なくなって店で一番高いマカロン3つを2セット自腹で買って帰ってきた。もうちょっと貢献したかったらしいが、財布に入っていたお金ではそれがやっとだった。らしい。
どんだけ高いマカロンなんだよ、と釘崎は検索をかけて一度椅子ごとひっくり返っている。たまーにSNSでもみかけていたがあまりに値段が高いので買い手がそもそも少ない、という理由だったのだな、と釘崎はぼんやり思った。自分じゃ好きなフレーバーがなきゃ買わない。閑話休題。
そしてAAAは成分表をみてびっくり、自分はまだ食事制限があるため避けれるならよけるべきものが記載されており、1セットをこういった甘いものが好きであろうと予想して釘崎へお土産として渡した。らしい。
困ったような顔で「よかったら食べてくれないかな?」なんて言われた時はなにを持ってきたんだと訝しんで釘崎はつっぱねかけたが、AAAの説明により頭にハテナをいっぱい浮かべた。
一回説明されただけでは理解が追いつかず、小分けに何度か質疑応答を繰り返してやっと釘崎の脳内で情報を無理矢理完結した。無理矢理だ。

「本当にもらっちゃってよかったの?これ香り程度よ?」
「酒はまだダメだから…次の診断で引っかかっても困るしね。」
「まぁ、ありがたいから食べちゃうけど」
「そうしてほしいなぁ。それに、ひとくちはもらったし、また食べられるようになったら自分でも食べてみるしそれまで期待してまってる」
「AAAらしいわ」
「そう?」



「で、夏油傑はなんで潰れてるの?」
「ンググググッッ」
「いや、それが俺にもわからなくて…」



ぐぅだかんぐだかの小さい唸り声を発しながら机に沈むように顔をつけている教師。手元には残り一個になったマカロン。
釘崎が来る前からこうなっていたので、ドン引きしながら写真をとった。弱味を握ったともいえる、かもしれない。

「もう1セットを夏油先生にお世話になってたから渡したんだ、美味しいって食べてくれたんだけど…」
「詳しく話しなさいよ」
「?うん。釘崎さんとは中身が違ったんだ、ピスタチオは一緒だったけど、珈琲とアーモンド。お店の人曰く苦味があるって、だから夏油先生に」
「へぇ」
「それで、えーっと……アーモンドには香り付けの洋酒すら入ってないことがわかって」
「もらったのね」
「ひとくちだけ貰った。おいしいね、でも心配だからそれでおしまいにしたんだ。で、気づいたら、夏油先生が」
「こうなってた、と」
「うん」
「は〜〜〜?????ほっとくか」

なんじゃそれ。
釘崎は大きなため息をついてマカロンに集中しだす。ついでに同級生との楽しい会話をするためにAAAの意識を潰れて耳を真っ赤にしている教師からずらすことにした。










ドン引きしながら楽しい野薔薇様
AAAに悪影響がありそうだけど、夏油の恋を見守る会(久才と家入が会員)に入っているので写真とってラインでまわした。面白い。
でもAAAが嫌な思いしたり泣かせたら殺す勢いで潰すつもりでいる。末っ子はかわいいもの

胸きゅん夏油傑
意図せずあーん構図になってしまい指がAAAの唇にちょっと触れてしまって初心な反応してしまう自分が嫌なのと嬉しいのとぎゅんぎゅん鳴りやまぬ胸と脳内ビックバンに唸るしかできない教師「ンググググッッ」


戻る
TOP