体が、霊圧が、回復されているのがわかる。冷えた体が温まり、痛みを超えたなにかが癒え、血が巡る感覚。嫌な感覚だ。目を藍染さんに斬られたため視覚的な情報はないが、周りに沢山の人がいるのはわかる。それも嫌な奴らばかりだ。
「誰だ。私を治しているのは」
騒がしかった周りが一瞬にして静まりかえる。笑いそうになるのを抑え無理矢理回復膜を砕く。バリンと音を立てて砕けるそれを手で払いながら体をおこす。体をバキバキと嫌な音が駆け巡る。
「きゃっ?!」
「邪魔だ」
女の、たぶんおそらく虎徹勇音の小さな悲鳴を聞きながら卯ノ花の気配のする方にむきなおる。
「…お目覚めですか」
「ああ、目覚めたらしい、が。なんだ?情けか?」
「いいえ、戦いは終わりました。命あるものを全て治しているだけです」
「はは、偽善め」
「あなたは相変わらず、私たちの手を必要としないつもりなのですね」
目覚めと同時に自らの刀であるステータスアップを発動させて細胞活性化をしおえた私の体は完全だ。傷の治った目をゆっくり開き、むきなおっていた卯ノ花の姿を視界に入れ周りの死神たちも見える範囲で名前と姿をあわせてゆく。知らないやつもいるがまぁ気にすることはないだろう。
「ほぉ、こりゃ、また、瓦礫の山だなぁ」
「ええ」
「それで?治して、捕まえて、なにを?」
足につけられたよくわからない拘束具を持ち上げながら卯ノ花に問えば、まったく食えない笑みのままゆっくり口を開く。この柔らかそうな口にナニをつっこみたいってたのは誰だったか。
「あなたが藍染をいつ裏切っていたのか、説明してください」
知った顔の死神がたくさんこちらを見ている。期待、悦、欲、絶望、裏切り、悲しみ、喜び、皆がそれぞれ目に飼っている感情の色。
「悪いが、裏切っていたのはあのときだけだ。今はそんな気はない」
ガチャン、と手にまで拘束具が追加される。そんなに苦しそうな顔をするならしなければいいのにな。卯ノ花。
「今は、藍染の仲間だと?」
「仲間?バカを言うなよ、藍染さんが仲間を欲すると?あいつの見る世界を一瞬見てみたくてついていったんだ。」
ガチャン。こんどは首に。ああ!嗚呼!辛そうだな、卯ノ花!その無駄に綺麗な顔がぐちゃぐちゃに歪んでいる姿なんて「漫画」では見たことなかったよ!
「あなたは、」
「今、私がこの拘束具を壊したら、もっと増えるんだろうなぁ、卯ノ花ァ」
「…」
「しないよ、しない。そうだろう?最低限がいいよな?」
虎徹勇音と卯ノ花の顔がみるみるうちに歪んでいく。じわじわと周りにいた知った死神たちも。期待なんてするからだ。嘲笑いたいがぐっと飲み込む。
「そうだ、藍染さんは死んだかい?」
「いいえ、死んではいません。」
「そうかい。じゃあ、黒崎一護は?」
「死んでいません」
そりゃあ、また、原作通りで。よかった、よかった、めでたしめでたしってことか。
はーっと息を吐いて拘束具のついたまま頭をかく。気疲れってやつだろう、ステータスアップをかけて万全なはずの体が重い。
「…あなたが助けたことは、聞かないのですか?」
「は?」
「市丸ギンは生きていますよ?」
「………は?」
は???????????????????


戻る TOP