(テレビアニメシーズン5の2話〜4話程度の時間軸)




「この人はいつも一緒じゃないの?」

アミの声が小さく投げかけられてルパンはパチリと瞬きをする。

「誰?不二子か?」
「その人もそうだけど、このAAAって人」

アミは、タブレットのルパン・ゲームの画面を開いた賞金欄にあるAAAの姿を見せながら問う。盗撮であろう視線の外れた真正面からのAAAがカフェで朝食を食べている姿がうつしだされたそれ。他にもショッピングをしている姿、タクシーやバスを利用している姿も見てとれる。傍から見ていた次元と五ェ門もいつも通りのAAAに少しばかり表情を崩す。

「まーこりゃ、よく撮れてんなぁ」

数枚あるうちの一枚だけ確実に視線がカメラを向いている写真があるため、盗撮には気づいているぞと暗に言われているわけだが、それ以外は至って普通のAAAらしい日常を過ごす写真ばかりである。
撮影者、もしくは撮影器具はたぶんおじゃんにされているだろうなぁ、とAAAが顔も知らぬ撮影者をボコボコにしてカメラを壊す姿をルパンは頭の中に容易に描くことができてしまった。あいつならやりかねないと次元と五ェ門が古傷にもならない昔いたぶられた・・・・・・ところさする。うまくなおされているため傷ひとつないが、治療中はお察しくださいというやつだ。

「AAAにはAAAの仕事があるからなぁ…。俺たちと馬鹿やってる暇は無いの」
「仕事って?」
「かいてあるだろ、裏の医者。本人は否定するけどな」

裏の医者、闇ナース、慈悲のない女神。最後の通り名はおもしろおかしく囃し立てた治療を経験している奴らがかげで呼んでいるものだがあながち間違ってはないのでみんなが苦笑いする。経験者は語る(しかし、治療中を思い出して口を塞ぐ)。結局は医師免許を持っていないセンスと知識で出来上がった裏にしかいない医者だ。

「あいつは法外な金はとらないし、腕もたしかだから余計にな」
「医者は重宝されてるからな」
「それだけ?」
「いや?アミ、見てみろ。この写真は全て一緒の日だ。これが撮られた日以降はもうAAAは表にいっさい姿を現してないし、現していても優しいやつらが情報も写真もなにからなにまで消してまわってんだ。優しい優しい医者は大切にしなきゃならないしな」

治療最中はあれだが、優しい医者には変わりない。傷も残りにくいと評判でもある。金もそこまで高くなければ、代償に無理難題をおしつけるときもあまりない。ゼロではないので、対価の注意は必要だけれども。
ルパンの記憶の中の彼女が、いつもみたいに呆れたとため息をつく。彼女がもしピンチの時にルパンを頼ってきたならば、優しいやつらがやったように同じ事をするだろう。もし、今のルパンがAAAをルパン・ゲームに関わるとなっても頼れば、同じように手をかしてくれるだろう。薄い信頼が彼女との間に存在していることが、唯一の繋がりであり現実だ。
アミはぱちぱちと瞬きを繰り返す。このあったこともない写真からみるに優しそうなAAAさんの姿がブレにブレていくのを感じながら、少し目をふせる。

「不思議な人…」

否定しない周りの男たちはAAAの姿を思い浮かべて少し笑った。

 


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