化け物のなかに混ざった

(第1主・小説読破アニメ未視聴/第2主・小説読破アニメ視聴済/※戦争により片腕無くした佐久間、怪我が治りきってない小田切が機関に帰還済、三好生存/小田切)



この世界はまだ生きやすい。前線に行くこともなく、内地の緩やかな時間に身を任せている。まだ内地までは火種は飛んできていない。女で、魔王の配下にいるのも今は要因だろう。私ではなくサヤカが生きやすい世界だ。生きやすく生きにくい、不安定ではあるが不釣り合いではないためこの世に馴染むのは苦ではない。目の前の彼女の笑顔を苦ではないこの世に開かせるのは素晴らしいことだ。

「どこへ」

小田切が読んでいたはずの本を置き、椅子から立ち上がる。私やサヤカよりも低い小田切の声が部屋に少し響く。

「…買い出しに、」
「お伴しますよ」
「……そう」

サヤカにかかるであろう時間と行くつもりの店をつたえ彼女の必要な物を聞き、ついでに福本の作る料理で必要な食材で足りないものを承っていたため人員が増えることは損ではない。ではない。の、だけれど。
「いってらっしゃい」とサヤカの声に背を押されるように小田切とゆっくり歩みを進める。杖をついているため残念ながら早く歩くことができない。面倒ではあるが安定安心が確定した自分の部屋がないためにこれを持ち歩く必要があるのだ。早くない足並みで廊下を歩き、隣に気遣うようにそう小田切にため息交じりで口を開く。

「別に、いつも付き合わなくてもいいんですよ」
「好きで付き合ってるだけで、」
「改めます。恩を感じて付き合うなら止めていただきたい。好意で荷物持ちをしてくれるなら別ですけれど」

小田切が一呼吸止まった。
戦場から強制的に力任せに彼を引っ張り出し日本へ戻したのは私だ。計画を立てたのはサヤカであり魔王であるため、私はただの手足にすぎない。サヤカがどうやって魔王を言いくるめたのかがまったくわからないがそこは以前から気にするところではないのだろう。
歩みを止めないまま意気込んだように瞳を見つめてくる小田切、大人の男の普通の人の瞳。

「好意です」
「そう。ならお願いします」
「おぅい!」
「、佐久間さん」

嗚呼、本当に魔王にはしてやられる。後ろから佐久間が魔王に任されたであろう買い物メモを持ちながらやってくるのを二人で感じて、少し笑う。後ろを振り向く際に小田切が手を添えてくれるのを感じながら、杖を軸にしてふり返った。

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