「珠希、今度旅行に行かない?」

それはもう妊娠して9ヶ月になり、お店とははやく産休に入り今は執筆活動中心な生活になっていた。

「旅行?」
「そう。あんまり遠くには行けないから東京観光になっちゃうけど」
「嬉しい!良平くん、ありがとう!」

良平に抱き着いた。

「おっ、今蹴ったなw」
「この子も嬉しいんだよ!パパありがとう」

すっかり大きくなったお腹を愛おしく撫でるとまた蹴るのがわかった。家族が増える実感が二人に募る。


あれから数日後、今冬も寒い日が続くなか二人は浅草に来ていた。
過保護な良平は珠希にこれでもかと暖かいものを着せ、手を繋いで仲見世通りを散策していた。

「ねえねえ良平くん、木村家本家だって!」
「ほんとだ。寄ろうか」
「うん!人形焼きだって。美味しそうだな〜」

人形焼きを美味しく食べる珠希をスマホのカメラで撮る良平。それを知り私もと、珠希も良平を撮った。

「すごく楽しいね。次はこれ食べたいな?」
「今日の珠希は食いしん坊だね」

通りのお店からはどこも美味しそうなにおいが漂っており目移りしてしまうほどだった。
辺りはもう暗くなっていた。

「もう夜になっちゃたね。早かった…」
「今度は、三人で来ような」
「そうだね。今度は三人で。良平くん、ありがとう。楽しかった」

そっと腕を引き良平の唇を奪う。傍から見ればただのバカップルに見えているだろう。でもそんなことは珠希にはどうでも良かった。

「ずりー」

良平も触れるだけのキスをした。



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