「なにっ・・・!? それは本当か!」

私は筋金入りの情報通(友人A)から驚愕の話を聞かされる。
なんと、去年クラスが同じだった安堂はあの『蓮くん』と友達だという。これはもしかしたらと、そう思わずにはいられない。
クラスが離れても会えば昨日見たテレビの話題やお互いのことを語れるアイツが『蓮くん』と友達。初めは驚いたけど考えてみればあの安堂だ。不思議じゃない。そういえばこの間会ったけど教えてくれなかったな。それよりも惚気ていたからそんな話にはならなかったけど。

(これであっさり『蓮くん』を見れる・・・?)

先の林間学校では不発に終わり、クラスの教室前が通り道と知っても未だに見れていない状況が続いていた。もう熱も冷めてほとんど諦めていたがその事実を聞かされて再び燃え上がる。今度こそ!

安堂と『蓮くん』がいるクラスに足を運ぶ。今まで用もないから来ることはなかった教室、そのそばにいる人に安堂を呼んでもらえないかと頼んだ。そんなに時間はかからずに呼び出した安堂はやって来た。

「あれっはるちゃん。なになにどうした?」
「いやー突然ごめんね。安堂のクラスもう国語の授業終わった?」
「んーと、2時間目に終わってる。・・・もしかして教科書忘れた?」
「あははー正解」

そう聞かれた時点で察したのだろう。黒板横の大きな時間割表を確認してから安堂はアホだと笑い「待ってて」と教室に戻って行く。その動向を外から覗くと安堂は真っ直ぐに進んで窓際の一番前の机の中に手を突っ込んでいた。そうして私は、ここぞとばかりに探している安堂から視線を外してこっそり教室内を盗み見始めた。
この日このクラスと授業が被る国語の教科書を忘れて(いるフリをして)安堂に借りにここまで来た本当の理由は、『蓮くん』を一目見るためだったりする。というよりそれがメインだ。こんな回りくどいことしか思いつかなかったから誰にも本当のことは言えていない。恥ずかしいもんね。

(・・・いないのかな・・・)

そもそもどんな姿をしているかわからない・・・・・・。今さらだけどそれって重要じゃないか!
大きな問題に気が付いてがっくりとする私をよそに安堂は教科書を持って出てきた。「ほらっ教科書」「あ、ありがとう」げっそりした顔に首を傾げる安堂にお礼を言った。

「ホント助かったよ。もう時間になるから行くね」
「あ、休み時間もう終わりか・・・。聞きたいことがあったんだけどなぁ」

なんだろうと疑問をぶつけると赤らめた頬をして視線を落とす反応にすぐ理解した私はにやにやと笑みを浮かべた。
同じところに目が向かう安堂の横顔を何度か見たことがある私は内容を大体把握する。あの子のことだろう。

「何かあげたいとか? そんなところ?」
「! うん、そうなんだよ! もうすぐ誕生日なんだけど何あげようか悩んでて!」
「ほほう。誰もが通る道を安堂クンもぶつかりましたか。うむうむ一緒に考えてあげたいところだけどっ時間が迫ってるからこれ返す時に話そうよ!」
「おお! なんだか頼もしく見えるふしぎ」

安堂越しに見えた時計の針に焦りを感じて今すぐにでも聞いてあげたいなという気持ち的に渋々と切り上げた。「教科書ありがとー。またあとでね」自分のクラスに戻ろうと歩き出す前に見えた安堂の席の後ろ。ずっと机に顔を伏せて寝ているようだったその人がおもむろに顔を上げた。あ、起きた。「はるちゃん走れー」安堂の声に視線がこっちに向いて一瞬目が合った気がしたけどチャイムが響く廊下を走る私はそれどころじゃない。

(やばっ日直だった!)



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