「別れたんだって」
「安堂くんと一年の杉本さん、だっけ? そのコと」
「なんでも蓮くんが」
「蓮くんが」
「一ノ瀬が安堂のカノジョを」

「一ノ瀬のせいで別れたんだって」

真相はわからない。確かめればいいのだろうけど無関係な私が踏み込んでいいのかと躊躇って、それから日が経ったころ。安堂は変わった。
チャライ男になって毎日女の子をとっかえひっかえ。今日はあの子だった。あの子にはカレシがいるのに。

(・・・安堂・・・)

耳にする安堂の様子から無理しているんじゃないかと思う。わからないけど、たぶんそうなんじゃないかな。それにあの安堂が言ってたらしい。後腐れない遊びがしたいと。それを聞いた時は胸が痛くなった。

今度こそ何か言おう。そう意気込むものの女子とのパーソナルスペースを縮める安堂に話しかけづらくて、割って入れる度胸がないまま今日もこっそり安堂の動向を見ていると3年の先輩が怒りに染め上げた表情をして安堂に詰め寄っていた。(あの子のカレシだ)人気のない屋上に行ったことでもうこれは悪い予感しかしない。
恐くて何もできなかった私は先輩がいなくなったあとに屋上に向かった。案の定ボロボロに倒れていて目を丸める安堂に声を上げた。

「動くな!」
「っえ・・・つかなんではるちゃ」
「そこから一歩も動くな!」

踵を返し階段を駆け下りる時に人とぶつかりかけた。「ごめんっ」びっくりさせた相手のことを気にする余裕がなくて水道まで駆けた。



「・・・・・・今の人」

煩わしさからか階段を6段飛ばしでバンッと見事に着地、そして足の痺れもなく走る背中を息を呑んで見送る生徒が一人いた。



16.0617