04
 

「まただ…今、また何者かに見られている感触を味わったぞ」

九龍に本を読み聞かせていたDIOが不快な視線に気付き、寝台から起き上がる。

「ダディ?」


塔の上に閉じ込められた、長く美しい金の髪を持つ娘。
そんな娘に惹かれ、強引に彼女と出会う王子。
だが程なくして、娘と王子の逢瀬はある時、娘を閉じ込めていた魔女に露見してしまう。


…物語の続きは?

続きをねだり、こちらを見上げてくる息子の頭をDIOはそっと撫でた。

「すまないな、九龍。本はまた明日、読んでやろう」

──だから今日はもうおやすみ。

閉じた瞼の上にキスを落とし、DIOが向かうのは部下達の元。


「始末すべき宿命、抹消すべき因縁…既に手は打った」



しかし、その数日後。
東の島国に送り込んだ刺客を打ち倒したジョースターの血族は、今度は自分達からDIOを倒す為に動き始めた。


「やはり私の居場所に勘付いたな。来るか、このエジプトに…」

DIOは先日の様に茨のスタンドを発動させ、写真に念写を行った。

「………。ジョセフと…」

だが、そこに写る人物はジョセフ・ジョースターだけでは無かった。
かつての宿敵、ジョナサン・ジョースターの面影を持つ長身の若者、その名は──…

「…ジョータロー、か」

空条承太郎。
彼もまた、ジョナサンの血を引く一族の男である。



††††††††


さて、時は数日前に遡る。

アメリカに住むジョセフ・ジョースターは孫の異変を知り、娘が嫁いだ東の島国である日本へと訪れていた。
もう1つ、一族の宿敵の情報を娘と孫に伝えるという重大な使命を携えて。


「DIO!わしの『念写』にはいつもコイツだけが写る。…そして!」

ジョセフは自身に現れた能力、スタンドの説明も兼ねて、娘のホリィと孫の承太郎の前で念写を見せた。
能力で出てきた写真に写る男、DIOは首に切り取られた様な弧を描く1本の真っ直ぐな傷を持ち、ジョセフ達と同じく首の後ろに星型の痣を持っていた。
それは何故か、推測出来る答えは1つ…

「このクソったれ野郎の首から下は、わしの祖父ジョナサン・ジョースターの肉体を乗っ取ったモノなのじゃああ──!!」

百年前、DIOは首だけの状態となってジョナサン・ジョースターを狙い、相打ちになった。
しかし、命懸けで戦ったジョナサンを嘲笑う様にDIOは生き延び、ジョナサンの身体を奪ったのだ。

「奴は今、この世界中のどこかに潜んで何かを策している。それともう1枚、これを見てほしい」

今度は念写ではなく、ジョセフは自身のポケットから取り出した写真を見せる。
薄暗い場所に写るDIO、恐らくこれもジョセフが念写で写したのだろう。

だが、先程の写真とは決定的に違う点が1つ。

「ガキ…?」

DIOは幼い子供を抱いていた。
後ろ姿の為、顔は見えないが、DIOよりも暗いブロンドの髪だ。
そして何より、子供の襟元から覗く痣は…

「子供は恐らく2、3歳。奴が甦って4年…ジョナサン・ジョースターの身体を使い、DIOが産ませた子供じゃろう。奴め、どこまで死者を冒涜すれば気が済む!」

ジョセフはやりきれない怒りを拳に込め、テーブルを殴る。
祖父は激情を露わにするが、承太郎は自身に関わりの無いDIO討伐にあまり乗り気では無かった。


そんな承太郎が自ら進んでこうして、DIOの居場所、エジプトに向かう最大の理由は…
母ホリィがDIOの影響を受けてスタンドを発現させ、死に向かっているからだった。


>>多分、次でジョースター御一行はいきなりエジプトにいます。

 



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