06
みんなと笑い合う時間。きっと昔、私はここにいなかったはずなのに。ここにいて笑いあえるということが、まず夢のようだった。否、きっとこれは夢なのだろう。誰かが見ている、幸せな夢。
ちゃぶ台の向こう側ではスクナと、イワさんが笑っていて。それを優しく道反さんが見守っている。隣に視線を移すと彼が、流が微笑んでいる。「天花」と名前を呼んで、笑っている。これはきっと夢なのだろう。触れれば手が届くところに彼がいるのだから。だけどなぜか私はうまく笑えなかった。気を許すとすぐに泣いてしまいそうになる。幸せな夢のはずなのに、みんなに触れることができなかった。
その場にいられなくなって、立ち上がろうとするとすぐ近くに居た流に触れそうになった。
「っごめん」
「いえ」
流は咄嗟に離れた私を見てあっけにとられた表情をする。そして一つの疑問を口にした。
「天花は、幸せではありませんか?」
「ーーそれは、」
すとん、とまた座布団に腰を下ろす。答えられなかった。みんながいて、笑いあえて、命の危機もない。流が生きていて、みんなで暮らしていける。幸せでないはずがない。なのに。
「私、ここにいちゃいけない」
おかしいよね、幸せなはずなのに。そういって私は茶化すように笑う。流は刺すような眼差しで私を見てきた。「触れちゃいけない気がして」夢であってもそれは望んでいけないと思った。触れたいと希っていたはずなのに、手を伸ばせば届くのに。望んだらこの夢が壊れてしまうような気がしたから。
「それが天花の選択なのですね」
「変だよね、ごめん」
流はいいえ、と言って目を伏せる。そこに特別な感情があるようには見えなかったけれど、ただその目の色は悲しそうに蒼く光を落とした。夢だというのに、夢の中の彼は見たこともないほど切ない表情をしていた。
ちゃぶ台の向こう側ではスクナと、イワさんが笑っていて。それを優しく道反さんが見守っている。隣に視線を移すと彼が、流が微笑んでいる。「天花」と名前を呼んで、笑っている。これはきっと夢なのだろう。触れれば手が届くところに彼がいるのだから。だけどなぜか私はうまく笑えなかった。気を許すとすぐに泣いてしまいそうになる。幸せな夢のはずなのに、みんなに触れることができなかった。
その場にいられなくなって、立ち上がろうとするとすぐ近くに居た流に触れそうになった。
「っごめん」
「いえ」
流は咄嗟に離れた私を見てあっけにとられた表情をする。そして一つの疑問を口にした。
「天花は、幸せではありませんか?」
「ーーそれは、」
すとん、とまた座布団に腰を下ろす。答えられなかった。みんながいて、笑いあえて、命の危機もない。流が生きていて、みんなで暮らしていける。幸せでないはずがない。なのに。
「私、ここにいちゃいけない」
おかしいよね、幸せなはずなのに。そういって私は茶化すように笑う。流は刺すような眼差しで私を見てきた。「触れちゃいけない気がして」夢であってもそれは望んでいけないと思った。触れたいと希っていたはずなのに、手を伸ばせば届くのに。望んだらこの夢が壊れてしまうような気がしたから。
「それが天花の選択なのですね」
「変だよね、ごめん」
流はいいえ、と言って目を伏せる。そこに特別な感情があるようには見えなかったけれど、ただその目の色は悲しそうに蒼く光を落とした。夢だというのに、夢の中の彼は見たこともないほど切ない表情をしていた。