最後の雨の日

古びたバス停で雨を凌ぎ始めてかれこれ1時間は経っただろう。それでも話題が尽きないのは、長年一緒にいる幼馴染だからだろう。将来の話、親の話、勉強の話……エトセトラ。中学生の俺たちが話す内容は、どれもバカでくだらなくて、だからこそ楽しかった。
そして、後30分もすればこのド田舎のバス停にやっとバスがくる、という時にこの話題が時間を潰させた。
「高校ん入ったら、恋人とか出来んのかなぁ」
「ソギュンは、スグ、出来るんじゃない……?かっこいいし、運動出来んじゃん」
「だったら、ジウォンもスグ出来るな?都会でスカウトされるくらい顔がいいし?勉強も出来るし?性格もいい。お前を好きにならない女はいないね!」
「やめろよー、褒めてもなんも出ねぇよ」
ワハハと2人して笑う。そして、ソギュンに褒められて少し赤らんだ顔をバレないように、ペットボトルの水を飲んだ。
「はー、好きな子出来たらさ、1番にジウォンに相談するわ」
「は……う、うん」
タラレバの話なのに。嫌だ、と口から出掛けて何とか抑える。
俺、いまどんな顔してんだろ。
きっと不細工な顔してる。
「……ソギュンはさ、ずっと、俺と……こうやって話してくれる、よな?一緒に……」
言葉を、絞り出す。けど、最後の言葉だけは、言えなかった。
「当たり前だろ?俺らは幼馴染で親友!赤ん坊ん時からずっと一緒だろ?」
「……そう、だよな」
そう、だけどさ。
ソギュン、お前の言葉が俺には、苦しいよ。
「バスやーっと来た!早く帰ろうぜ、ジウォン」
「うん、ソギュン」
これまた古びた乗り慣れたバスに2人で乗り込む。

さっきより酷くなった雨は、俺の代わりに泣いている様だった。


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