※よその子のお名前お借り致しましたm(*_ _)m

パソコンを見ながら、ノートの紙面は見ずにスラスラと器用にペンを動かす彼女。
そのベビーブルーの瞳は、変化し続ける数字だけを映している。目の前に、暇を持て余した俺がいるにも関わらずに。
「ガビィ」
「うん、ちょっと……まってね」
呼びかけても、こちらを見もせず答える。
誰のデータを見ているのだろう、と彼女のパソコンを覗き込むと、なんとクソ世一のものでは無いか。自分やドイツのメンバーなら待っていてやろうと思ったのに、よりにもよって潔世一のデータを見ているとは。こればかりは彼女が悪いだろう。
パタン、と彼女のノートパソコンを閉じる。
「あっ!」
「ガビィ?俺より世一の方が大事か?」
「ちがうよ、イサギくんにはこの前フィードバックをしたから、経過を……」
「そんなのいつでも出来るだろ?」
「そうだけど……」
彼女は諦めた様にペンにキャップをして、ノートも閉じた。
「いい子だな、ガビィ」
彼女の透き通るブロンド髪を撫でて、頬に小さくキスをする。
途端に彼女は顔を真っ赤にして、俯いた。
「ミヒャくん、恥ずかしいよ……」
「何故?」
「……だって、見られたら……」
「見せつければいいだろ?」
首を横に振る彼女。俺は、彼女が恥ずかしがっていたり、慌てふためく姿が好きなのかもしれない。
だから、今も自然と口角は上がる。
「なら……もっと恥ずかしい事、するか?」
「……はっ!?!?」
耳元で囁いてやれば、さっきまで下を向いていた彼女の顔が勢いよく上がる。
「俺はいつでも大歓迎だぞ?子猫ちゃん」
「いっ、いや、私……」
「アハハッ、クソ可愛いなぁ?」
先程よりさらに真っ赤になった顔をなぞる。
いちいちビクビクと反応する彼女も最高だ。
「みひゃくん……やめてよ……」
「恥ずかしいから、か?」
今度は首を縦に振る彼女。
……確かに、こんなに赤くなって可愛らしい彼女が他のやつに見つかるのは癪だ。特に、世一。
「ガビィの部屋に行こう。それなら、いいだろ?」
「な、何が?」
「?ガビィの言う恥ずかしいことをしたって、誰も見れないだろ?」
「うっ……そう、だけど……」
「なら、決まりだ」
彼女を立たせ、指を絡める。
彼女はパソコンとノートをもって、俺より半歩遅れて歩く。
先程居たミーティングルームから彼女の部屋まで、案外誰にも会わなかった。……あのルイとか言うマネージャーくらいには出くわしそうだと思っていたのだが。(出くわした所で、小言を言われそうだから、結果的には良かったのかもしれない。)
綺麗に片付いた彼女の部屋のベッドに腰掛ける。デスクに荷物を置いた彼女はそこから動こうとしない。
「ガビィ?おいで」
「う、うん……」
彼女を呼び寄せると、おずおずと近付いてきた。
隣に座るよう促す。ちょこんと座った彼女は、俺の顔は見ず、視線をうろうろさせている。
肩を抱き寄せれば、ビクッとして、俺の方を見た。
そして、ゆっくりと口付けてやる。
「ん……」
食んで、味わうように。そして、少しの音を添えてやれば、彼女は忽ち我慢出来なくなって俺の服をぎゅっと掴む。
「んぅ……み、みひゃ、くん……」
唇を離すと、息を整えながら、彼女は俺に訴えるかのように睨む。そんな、涙で潤んだ目で睨まれても逆効果だなんて、きっと純粋な彼女は分かっていない。
「ガビィ、どうする?」
「え……?」
「俺は、無理にはしない主義だからな。ガビィが嫌なら、今日は勘弁してやろう」
「……でも、ミヒャくんは……」
また視線が泳ぐ。こういう時でさえ、自分よりも俺の事を案じる彼女は、優しすぎて、心配だ。
「Ja oder nein?」
「……Ja」
彼女の小さな返事を、押し倒して応えた。
首元のリボンタイを解く。
さぁ、夜は長いぞ、と思った時。
けたたましく鳴り響く着信音に、彼女は大きく肩を揺らし、俺も少々驚いた。
彼女の携帯電話には、あのマネージャーの前が表示されていた。
拒否ボタンをタップしてやろうと手を伸ばすが、先に出られてしまった。
デスクの方で受け答えする彼女を見詰めるが、気分はもう冷めてしまった。解いたリボンタイを弄りながら、電話が終わるのを待つ。
通話が終わった彼女は、いつもより一層眉を下げ、俺に言うのだ。
「ミヒャくん、ごめん、ちょっと急ぎの作業が……」
「……そんなこったろうと思った。今日はもう戻る」
「ご、ごめん……」
「謝らなくていい」
持っていたリボンタイを彼女にまた結び直してやる。
「じゃあ、」
「あ、まって……!」
彼女は俺の袖口を掴んで引き止めた。
そのまま近付いて、俺の肩に手を置く。
そして、背伸びをして、彼女から俺に、口付けた。
彼女からキスをされるのは初めてで、離れようとした彼女の後頭部を掴み、まだ足りないと言わんばかりに堪能する。
「んん……」
苦しい、と俺の胸板を叩く彼女。お前が始めたんだろ、と言ってやりたかったが、急ぎだと言っていたからやめてやる。
「み、みひゃくん……Gute Nacht……」
「あぁ、Gute Nacht ガビィ。また明日」
また真っ赤になった彼女の額に軽くキスを落として、俺は部屋を出た。
不完全燃焼ではあるが、それなりの充足感を得た事に少し機嫌が良くなる。
きっと、彼女は数日、俺をみて真っ赤になるのだろう。

あぁ、俺のクソ可愛い子猫ちゃん、ずっと、俺のものでいてくれよ?

 

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