「ようこそ、チャンピオンリーグへ。おれは四天王のワタルだ」
「リサと言います、よろしくおねがいします!」
「ふむ、いい目をしている。良いバトルにしよう!ゆけ、ギャラドス!」

ボールから出て来たと同時に響く咆哮、ギャラドスの咆哮にはまだちょっとびっくりする私がいる。

「いって、ゲンガー!」
「ギャラドス、あまごい!」
「ゲンガー!あやしいひかり!」

ギャラドスは声を荒げた、すると場内にぽつりと雨が降って来る。
しかしひかりに当たってしまい、ぐるぐると頭を振っている。

「ギャラドス、振り払え!」
「シャドーボール!」

ぶんぶん、と纏わり付く光から逃げる様に体を攀じるギャラドスにシャドーボールが当たる。そのおかげで混乱は解けたようだ。

「ギャラドス!かみくだく!」
「ッ、ゲンガー!こらえる!」
「ゲンッ……!」

がぶり、と2回ゲンガーにギャラドスの牙が刺さる。こうかはばつぐんだ。

「ゲンガー、かみなり!」

雨の恩恵を受ける、雨の状態であればかみなりは必中だ。ダァン!と放たれた雷はギャラドスの体を直撃した。こうかはばつぐんだった。

「戻れギャラドス、ゆけハクリュー!」
「戻ってゲンガー、カメックス!」

体力がぎりぎりのゲンガーを下げ、カメックスと交替させる。カメックスが氷技を覚えられてよかった。
そのままカメックスでハクリュー、ハクリュー、プテラを倒す。流石にカメックスも最後のプテラで体力がギリギリまで攻められてしまった。

「フ、最後か。ゆけ、カイリュー!」
「私も、頑張ってカイリュー!」
「いい育てられ方をしているな。君のカイリュー」
「ドラゴンタイプの使い手さんに褒められるとは……」

ぽりぽりと頬を掻く、褒められたカイリューも嬉しいようでにこにこした顔をこちらに向けて来ていた。

「カイリュー、りゅうのまい!」
「しんぴのまもり!」
「もう一度、りゅうのまいだ!」
「……あられ!」

私のカイリューがひと鳴きすればカラン、ととても小さな氷の粒が振って来る。ワタルさんを見れば眉を寄せていた。

「あられか……カイリュー!りゅうのはどうだ!」
「避けて!ドラゴンテール!」

ワタルさんのカイリューから放たれるりゅうのはどうを身を捩り間一髪で避けるカイリュー。そのまま尻尾を叩き付ける。

「ッリュー!」
「カイリュー!そのまま尻尾を掴め!たたきつけろ!」

地面に叩き付けられるカイリュー、思わず顔を顰めるも私のカイリューは頭を振り再び向き合った。

「カイリュー、ふぶき」
「ッ、必中だ!」

私のカイリューが咆哮を上げる。天気があられの状態であればふぶきは必中だ。
目を回して倒れたワタルさんのカイリュー。ちょうどあられも上がった。

「おれの負けだ、リサ君。きみはつよいな」
「まだ、強くなりたいです」
「そうか。さぁ次はチャンピオンだ!……と、言いたい所だが知っての通り今はレッド君が戦っている」
「はい、……予想ですけど、グリーンはチャンピオンになったんでしょう」
「……ああ、レッド君は、グリーン君と戦っている」

カタリ、とカメックスが入っているボールが揺れる。ボールを手に取りカメックスを見るとこちらをじっと見ていた。

「ワタルさん、チャンピオン戦って見れますか?」
「ああ、控え室のモニターで見れる。見るか?」
「……はい、カメックス出しても?」
「良いぞ」

軽くポン、と投げてカメックスを出す。流石相棒だ、大丈夫と言いたげにこちらを見ていた。

ワタルさんと一緒に控え室に移動しモニターに映るチャンピオン戦を見る。
食らいつかんばかりの表情でレッドと対峙するグリーン、一方レッドは爆風を受けながらもじっとグリーンを見つめている。

「カメックス、帰ろうか」
「……カメ、カメッ!」
「もう一度、来よう。レッドとグリーンとは、ちゃんと戦おう」
「……いいのか?また来る時には最初からだが」
「いいんです、さらに強くなってから来るんで!」

カメックスと手を繋ぎ、ぐっと握りこぶしを作る。いつの間にか後ろには四天王の皆さんが居た。

「まぁ気持ちは分かるわ、こんな状況でどっちがチャンピオンになったとしても戦う側の気持ちとしてはね」
「出直すというのもいいだろう」
「女の子の方が精神的に大人なんだろうね」
「挨拶、していくかい?」
「いえ!どうせ、会えるので!」

未だ戦っているモニターに背を向け外に出た。ピジョットを出して背中に乗れば四天王の皆さんが軽く見送ってくれた。

マサラタウンに向かっている途中でポケギアのラジオから『新たなチャンピオンが誕生しました』と流れて来た。


***


「お母さん、ただいま」
「あら!おかえり……すこしたくましくなった?」
「そう?」

マサラタウンの実家に帰ればいつもと変わらない笑みを浮かべて出迎えてくれた。
外でポケモンを全員出してのんびりする、旅に出て1年が過ぎていた。

「グリーン君、チャンピオンになったのね」
「うん、でもレッドがすぐに追いついて、戦ってた」
「そう……リサは?チャンピオンと戦ってはないんでしょう?」
「……うん、こんな状態でしっかりと戦えない。レッドとグリーンとは、ちゃんと戦いたい」
「そうね。次はどうするの?」
「ジョウトに行こうかなって」
「いいんじゃない?まぁ連絡はするのよ」

その日の夜、私の好物が沢山食卓に並んだ。ポケモン達も一緒にご飯を食べた。久々の家のご飯、家のベッド。手入れをしていてくれたらしくふかふかのベッドだった。

***

「こんにちは、オーキド博士いらっしゃいますか?」
「リサちゃん!帰ってたんだね。ちょっとまっててね」

しばらくして、研究所へ顔を出した。研究員さんに声をかければぱたぱたと奥にオーキド博士を呼びに行ってくれた。

「おお!リサ!大きくなったのぅ!」
「お久しぶりです、博士」
「……グリーンとレッドのことは、しっとるかの」
「はい。その時実はワタルさんまで突破してまして……待機してたんです」

ふ、と苦笑いをすれば「そうか」とオーキド博士も苦笑して奥へと案内してくれた。

「今レッドとグリーンはリーグに居るが……」
「あ、今日は別件で……私、ジョウトに旅に出ようと思ってるんです」
「……ジョウト、か?リーグに挑戦は……」
「……とりあえず保留で!」

にこり、と笑みを浮かべればオーキド博士は「それもいいじゃろう」と紙を取り出して何かを書き出した。

「それで、オーキド博士……というか、研究所にお願いなのですが」
「どうした?」
「カントーで一緒だったポケモンの皆を、見ていて欲しいんです」
「つれていかんのか?」
「はい、最初から旅をしようと」

カタリと動くボール達を見る。ポケモンの皆には伝えてある。最後迄カメックスは一緒に行きたい、と伝えて来たが「私の故郷を、よろしくね」と言えばひしと抱きついて来た。思わず泣いた。

「ああ、でも……基本的に家にお願いするんですけど……。もし研究所の方さえよければお手伝いとか使ってくれてかまわないので、皆を見てくれれば……」
「……リサのポケモンなら、良い子なんじゃろう」

ボールをみながら「出しても?」と聞けばにこりと笑顔の答えが出て来た。
研究所の外に出て皆を出せばビャッと私に詰め寄って来た。

「わかった!わかった!……フーディン、ゲンガー、ピジョットは研究所のお手伝いをお願いね」
「ディン……」
「ゲン……」
「ピジョ……」
「カメックスとキュウコンとカイリューは家のお手伝い、出来るね?」
「カメ……」
「キュウ……」
「リュー……」
「ハッハッハ!しょぼくれておるのう!」
「私ってトレーナーの才能あるんですね???」
「そうじゃな、なに。リサはマサラタウンに帰って来るじゃろ?」
「ええ、故郷ですから!」

***

ああして手持ちをマサラタウンに預けて1週間、私はジョウトへの旅の準備を万全にした。再びいってきますと母に声をかけ家を出た。服も新調して心機一転だ。

「明日グリーンが帰って来るが、いいのか?」
「いいんです!……あ、でもレッドとグリーンにはぶちのめすから待ってろ!って言ってもらいたいです」
「ふふ、リサちゃんらしいわね」
「ナナミさん!」

オーキド博士と研究所で話しているとグリーンのお姉さん、ナナミさんが笑いながら入って来た。

「リサちゃん、この子もらってくれない?」
「……たまご、ですか?」
「そう、たまご。うちに居る子が産んだのだけれど……梨沙ちゃんなら大切にしてくれるでしょう?」

カタリ、と動くたまごをそっと受け取る。ナナミさんがうちにいる子、と言っていたから多分産まれるポケモンは分かる。

「ジョウト、頑張って頂戴ね」
「はい!」
「リサ、最初はワカバタウンのウツギポケモン研究所を尋ねるんじゃ。そこのウツギ博士にこれを渡して欲しい」

オーキド博士から封筒を受け取る。スタート地点はワカバタウンに決まりだ。

「リサちゃん、行こうか」
「はい!よろしくおねがいします、よろしくねプテラ」
「テラァ!」

研究員さんの手持ちのプテラとオニドリルでワカバタウンまで送ってもらう。
バサリととびあがりマサラタウンが小さくなっていく。
よし、がんばろう。わたし。



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