「「乾杯ー!」」
グラスが鳴る、久々に飲んだアルコールは体に沁みる。
家の中で出せる子、イーブイとピカチュウとニャスパーが各々自由にしている。
「レッドと飲むのも久々だけどよ、梨沙お前だよ」
「えへーすみませんねー」
「何年ぶりなの」
「10年とか?」
「失踪レベルじゃねえか!」
すまんすまんと言いながら膝に乗ってきたピカチュウを撫でる、久々に会ったピカチュウの体をむにむにと触ると鳴き声を上げた。
「そういえばグリーンの家、普通に庭付きで笑った」
「だってあいつら出せねえだろ」
「まぁそう」
ちらりと庭を見ればリザードン、カメックス、フシギバナたちがなにかを話している。あちらはあちらで積もる話があるのだろう。
「高給取りはちげーな」
「うん」
「そういうお前らは自由に稼げてんだろ!」
「現実的なことを言うと税関係がクソめんどい」
「俺はグリーン頼ってる」
「だから仕事が減らねえんだよ!」
「えー私もグリーンに一任しようかな」
「仕事を増やさせるな!」
ダン!と音を立ててグラスを机に置いたグリーンを見てけらけら笑う、お酒が入ると笑いやすくなるのは仕方ない。
「梨沙は」
「ん?」
「どこにいたの?」
ぽつり、と呟いたレッド。それに続くように「そーだよ」とグリーンも言った。
「いろんなところ行ってきたよ、それこそ一昨日くらいはガラルだったし」
「は?!急にこっちに来たのかよ」
「うん、思い立って。荷物置きっぱだからガラルに戻らないといけないけどね」
「おま、おまえなあ……」
「……最初はカントーからじゃん?ジョウト、ホウエン、シンオウ……っていろんなところ行ってきたよ。随分ポケモンも増えたし」
「手持ち大型系多すぎだろ」
「かわいいじゃん」
「わかるけど」
庭でくつろいでいるボスゴドラとバンギラスとドサイドン、あそこだけすごい圧しか感じない。レッドのカビゴンの周りで昼寝している子もいたりかわいいなぁと微笑んでいると「何笑ってんだよ……」とグリーンに溢された。
***
昼過ぎから飲み始めて日も落ち始めた頃、大型のポケモンはボールに戻した。そして私はグリーンのウィンディに埋もれてもう眠気がMAXである。
「……もうほぼ寝てねえか?」
「おきてます」
「梨沙そっち行って」
「ぐっ」
真ん中に埋もれていたが横にレッドが無理やりやってきたおかげで端に追いやられた。ぐいぐいと私の腕を鼻で持ち上げてヘルガーも私の腕の中に入ってきてとてもぬくぬく空間となってしまった。
「……カントーに戻ってこようかなぁ」
「戻ってこいよ」
「シロガネ山に一緒に住もうよ」
「ちょっと毎時吹雪は……」
「そこかよ」
腕の中にいるヘルガーを撫でているとご機嫌になっていくのがわかる、それが可愛い。
「ガラルにも強いトレーナーって居るの」
「いるよー、むしろ最近までチャンピオンだったの同い年くらいだしね」
「へえ……」
「相棒リザードンなんだよ、ダンデっていうんだけど……ロトム、ダンデの写真ある?」
「探すロト!」
ロトムに声を掛ければ画像を探してくれる、出てきた写真は記念にツーショット撮ったやつでバトル後だったからお互いにボロボロだった。
「よりによってこの写真」
「……若そうにみえるけどよ、やっぱ他地方のやつは年上に見えるな」
「スポンサーすごいついてる」
「チャンピオンバトルみたいなのが大イベントみたいだしね」
「グリーン、ガラル行こうか」
「俺は仕事があるんだっつの!」
「1ヶ月くらいどうにかならないの」
「私とレッドからワタルさんに言おう」
「なんとかなる」
「実際圧力かけてるだろそれ……」
すいー、と指で画像フォルダを見る。次の画像に飛ばしたら後ろから見ていたレッドが「あ」と声を上げた。
「これ、誰」
「あーーー、キバナ……ちょっと距離近いんだよねモテる人だし炎上が怖い」
「うわ、すげえ陽キャってかんじ」
「グリーンも陽キャだからね」
「よっしゃ俺らも写真撮ってSNSあげようぜ」
「俺やってないけど」
「俺がやってる」
「私もやってるけど鍵つけてる」
「幼なじみマウントだよ」
「なにそれ……」
私の左側にはレッドがいたが右側にドッとグリーンがやってきて狭くなった。腕の中にいたヘルガーが小さく鳴いた、苦しいねごめんよ。
「おわっ」
「ピカチュウ、エーフィ」
「大変私のお顔の周りがもふもふしてきた」
「いいじゃねえか、ほら撮るぞー。ロトム、3秒タイマーな」
「了解ロト!」
3、2、1 パシャリ
シャッターが切られる、写真を見ると3人とも酒を飲んでいるので頬が赤く、レッドも軽く微笑んでいて良い写真じゃんー!と内心盛り上がった。
「上げるか」
「なんて上げるの」
「失踪者を見つけた」
「すごい私に対して不名誉では?」
ピカチュウがすごいもにもに私の頬を触ってくる、可愛い。触ってくるピカチュウの手をぱくりと口に含んだらレッドに怒られた。レッドも怒るんだ……。
「さて、そろそろ起きろ飯の準備だ」
「はーいママ」
「ママじゃねえ!」
「ほらパパ起きて」
「起きたくない」
「俺がママも嫌だしレッドがパパも嫌だ!なんか頼むか?作るか?」
「お好み焼き食べたい」
「急すぎんだろ」
「いいね」
「パパがやる気になったよ」
「だー!しゃあねえ、買い物いくか」
「良かった、グリーンが酒飲んでも割と強くて」
「俺様に感謝しろよな、ほら動け!」
「はーい、ヘルガーどうする?」
ウィンディから起き上がりヘルガーについてくるか聞いたらふるふると首を振る。多分今眠たいんだろう。
起き上がったレッドの肩にピカチュウがするり、と乗る。ウィンディ達はお留守番。
話すことは尽きない、夜はこれからです。