「……堂々とした、敵情調査ですね……?」
「ちげーから!」
「鳴さん!」
「あ、樹くんこんにちは」
グラウンドからこちらを見ている人が居て「ん?」と目を凝らしていたら見覚えのある人影だったので声をかけた。
なんだか鳴は拗ねてるし樹くんは「だから言ったじゃないですか」と繰り返していた。
「網代ーって、うわなんで居る訳?」
「一也には関係ないでしょ!」
「……すみません……」
「なんで居るのかはわからない」
練習終えた御幸が私を呼びに来たと思ったら顔を顰めていた。
「ちょっと梨沙、来て」
「骨は拾って欲しい、よろしく御幸」
「任せろ」
「死ぬ前提なんですか……」
「樹と一也は来ないでよ!」
「私何されてしまうんでしょうか……」
「鳴ー、不純異性交遊禁止だからなー」
腕を掴まれて引っ張られる、樹くんと御幸は「待つかー」と話をし始めた、正直助けて欲しいのだが。
「鳴、どうしたの」
「……」
「何に怒ってるのかわからないよ」
「投げたでしょ!」
少し離れたところで鳴にがるる、と吠えられるように言われて最初なんのことかわからなかった。
「……ああ!」
「なんで投げたわけ」
「監督から言われたし、……自由に投げろって言われたからかなぁ、すごいすっきりしたよ」
肩を軽くぐるぐる回してアピールするも鳴は若干拗ねたような顔でこちらを見ていた。
「……痛くない?」
「うん、大丈夫……心配してくれたの?」
「何!?悪い?!」
「悪くないけど、ありがとう……?」
「……あーあ!稲実来ればよかったのに!」
右手を掴まれて掌をにぎにぎされる、鳴と違って豆などが少なくなった私の掌は水仕事で若干肌が荒れていた。
「青道楽しいからなぁ」
「それムカつく……」
「なんでよ」
「梨沙は、俺のそばにいればいいでしょ」
「えー、仕事増えそう」
「……バカ!」
「痛い!」
手を叩かれて引っ込めた、またすっかり拗ねてしまった鳴はズンズンと歩いて樹くん達の元へと行ってしまった。呼び出した本人が先に戻るって何?
「鳴ー何怒ってるのー」
「梨沙が分からずや過ぎてるから!」
「鳴ちゃーん」
「……手!!!!」
「え?何?はい」
「ん!」
勢いに負けて手を差し出せばきゅ、と握られてまた歩き始める鳴。この行動の意味が分からず頭の上に?を浮かべていたらそれをみた御幸が笑っていた。
「仲良しじゃん」
「鳴の行動の意図がつかめない……」
「それいつもじゃない?んじゃ網代は俺が引き取りますよっ……て怖!」
「一也に絶対渡さないから」
「いや、鳴。私青道だから」
「そうだけど!そうじゃなくて!」
「はっはっは!」
「御幸も笑ってないで助けてくれない?!」
樹くんに助けを求めたけど首を静かに振られるだけだった。
***
「……鳴あいつ、網代のこと好き過ぎだよな」
「わかりますか」
「去年なんて俺と同クラって分かった途端に牽制してきたからな、バカだよなー」
「自分も毎日のように聞かされてて……素直になればいいのにとは思うんですけど」
「それが出来ねえのが鳴だよなぁ」
「多分鳴さんが素直になれば網代さんも分かってくれるとは思うんですけど……」
「巻き込まれるのめんどくせえから付き合ってくんねえかなぁ」
「……わかります……」
2人でそんな話をしていたとかしてないとか。