▼真田とみたらしは『ハグしないと出られない部屋』に入ってしまいました。
60分以内に実行してください。
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「なにこれ」
「なんだこれ」

ハグをしないと出られない部屋、というワードをそのままじっと見つめる。隣にいる真田は「すればいいんだろ?」と腕を広げていた。

「ちょっとそういう関係じゃないので」
「塩だなー」
「でもハグしないと出れないのかな」
「そう書いてあるけどな」

己を抱きしめるポーズをしても特に変化なし、真田からは「なにしてんの?」と言われ、素直に言えば爆笑された。自分をハグしてみてんだよ!

「ほら、嫌じゃねーならしようぜ」
「なんでむしろ真田はノリノリなの」
「役得だからな」
「ばーか」
「なんでだよ」

おずおず、と再び腕を広げている真田のもとへと近づき腕の中へ収まる。真田の手が背中に回り照れ臭さを覚えた。

「……網代ちいせえな」
「あんたに比べたら誰だってそうでしょ」
「いや、なんつーか、こんなちいさな体であんなノックしてくるって思うと」
「なにそれ」

真田の胸元に耳を当ててると心臓の音が聞こえる。人の心臓の音なんて聞くことがないからなんだか、変な気持ち。

ガチャッ

「……鍵空いた?」
「…………そーかも」
「何その間、ほら出るよ……真田?」

ぎゅ、と力を入れてくる真田に少し困惑。真田の背中を軽く叩くもなんだか反応が悪い。

「もう少しこうしちゃいけねーか」
「え、なんで」
「……言わせんの?」
「何が?!」

ぎゅー、と私の首元に頭を置いてきた真田に更に困惑、そして恥ずかしさが身を襲う。こんなに男の子と近づくのは、滅多にないから、変な、感じ。鳴は別として。

「これ落とすの大変そうだなー」
「なに?落とす?」
「激アツだよな」
「さっきから1人でなんの話してるの!真田!」

パッ、と腕を離した真田を見るとなんだか楽しそうな顔をしていた。その顔の意味が分からなくて私はひたすらに困惑した。

「よし、出るか」
「私は真田の意図が掴めない……」
「いーんだよ、掴めなくて」

なんだか嬉しそうな真田に手首を掴まれて部屋を後にした。


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▼真田が恋だと気付いたのは相手の一部に触れたとき です。
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自主練してから帰る、と監督に言えば「やりすぎんなよー」と軽い言葉。軽く笑ってると網代が近づいてきた。

「付き合うよ」
「え、いいのか」
「やりすぎないように見てる」

はは、そりゃ頼もしい。グラウンドに残って練習するのは俺たちだけのようで2人になった。

「捕ってくんね?」
「……捕手経験ないけど、それでもいいなら」
「野球経験あればいいっしょ」

そうは言いつつなんだかんだ捕れる網代はすげーと思う、まぁ流石に全力で投げるわけにもいかねーし、軽くだけど。

「おわっ」
「悪ぃ!」
「大丈夫、足休めよっか」
「……キてる?」
「ほんのちょっとの違和感」

網代の手前で跳ねた球を投げてしまった、が結果的に網代のストップが入る。ほんと、よく見てんな。

「何見てんの」
「こないだの試合のスコア」
「俺が打てなかったやつ」
「そんな日もある」
「ん、ちょっと走ってくるわ。戻ったら帰ろうぜ」
「あーい」

ベンチに座っている網代の横にジャージを置いてグラウンドを走る、3周くらいしたらやめるか。オーバーワークは怒られるしな。

「……おーっと……」

走り終えてタオルを取ろうとベンチに近づけば目を閉じてる網代が居た、しかも肌寒かったのか俺のジャージを前から着てる、いいけど。

「網代」
「…………………………あ?」
「寝起き可愛くねーな、待たせた」
「え、寝てた……寝るつもりじゃなかったのに……」

もぞ、とジャージを着直す網代になんかこう、グッと来た。
……まぁ俺も世間一般的な高校生だし?こういうの良いな、って思っちまうんだわ。

「ごめん、帰ろっか」
「寒いなら着てていいぜ、俺あちいし」
「じゃあ着てる、真田のジャージ落ち着くんだよね」
「ぐっ」
「ごめんて」
「いや、なんでもねえ」

なんかこれ、彼ジャージってやつじゃね?と脳裏によぎった。
……まぁでも俺と網代は友人なだけなんだけどな、

「あ、真田」
「ん?」
「タオル」

ふわりと首に掛けられたタオル、鼻にいつもとは違う香りが入る。だけど、嗅ぎ慣れた心地の良い匂いだ。

「冷えちゃうから」
「これ網代のタオル?悪い」
「別にいいよ、お互い様だよ」

ぶかぶかの袖から覗く手にははっ、と笑いが漏れた。

「腕捲ってやろーか」
「至れり尽くせりじゃん」

網代の手へと手を伸ばす、軽く掴んだ手首はめちゃくちゃ細くて、ぞわっとした。これが男女の差、なのか。

「ほっせ」
「手首はあんまり筋肉つかないの」

袖を捲っていく、網代の素肌が見えてきてなんか、まじで、やばいことしてる気分になってきた。

「真田?どうした?」

ハッ、と気づけば袖を捲ったまま止まってたらしく声をかけられて気づいた。

「……なんでも」
「なにー?」
「ハハ、激アツだぜ」
「今何もしてないけど?」

あ、俺……網代のこと好きなんだ。そう自覚したら口癖の激アツ、が漏れた。


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▼今日の真田とみたらし
満員電車に乗る。押し潰されそうなのを腕で囲って守ってくれる。これは壁ドンてやつ?ああ!押さないで!顔が近い!
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「キツイて!」
「中央線はしんどいよな……」

練習がオフの日、部の備品の買い出しを真田と一緒に行くことにした。どうせ送るから1人でいい、と言ったのにも関わらず真田がついてきただけだ。

「おわっ」
「気を付けろよ、潰されるから」
「本当にね……」

扉を背にしてはぁ、とため息を吐く。真田が壁になってくれているからかあまり圧迫感は感じない、体格がいいとこういう時しっかり立てるんだな……。

「監督は?」
「俺もオフだ!って言ってたけど多分雷市の素振りでも見てるんじゃない?なんだかんだ」
「なんだかんだそういうところあるよな、あの人」

ゴトン!と電車が揺れる、真田の体勢が崩れ両手が私の顔の横の壁に添えられる。

「っぶねえ……大丈夫か?」
「う、うん。むしろ真田のおかげで空間できてる」
「それならいいけど」
「むしろ大丈夫?キツくない?」
「はは、網代が潰れるよかマシだろ?」

しかしながらこれあの、壁ドンってやつですか。キツ、と声を漏らしながら私が潰れないように支えてくれている真田の顔が近くて、なんか、恥ずかしい。

「……マジで容赦無く押してくるな」
「そ、う……だね」
「調子悪い?」
「いや、そうじゃなくて、あの……顔が近い」
「あ、悪い」
「嫌なわけじゃなくて恥ずかしいだけだから……」

なんだか顔が見れなくて下を向く、頭上でなんだか笑いを堪えたような声が聞こえた。

「ちょっと」
「あー、いや、一歩前進したなーと」
「なにが」
「こっちの話な」

そしてまた近づいてくる真田の体。
近いんだって!満員電車だから仕方ないけどさ、あんた顔がいいんだからやめてよ!



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