「お疲れ様、ありがとうね」
「いえいえ!マスターのご命令とあればなんなりと!」
レイシフトから帰還し、マスターから労りの言葉を得る。レイシフト先が雪山だったからか手足が冷たい。
「由理ちゃん、レイシフトお疲れ様一応バイタルチェックしておこうね」
「わかった、ありがとうねダヴィンチちゃん。梨沙ちゃんまたご飯の時にね」
「はい!」
ダヴィンチさんに連れられ検査に入るマスターを見送りながらぐっ、と身を固める。寒い。そういえば、とレイシフトする前に見た光景を思い出しながら自室へと戻った。
「おかえり梨沙ちゃん」
「戻りました、って一さんずっとぬくぬくしてたんですか!ずるいですよ!」
「ほら寒かったでしょ、温めておいたよ」
「暖かいものなんですよ、これは!……はぁ」
刀を置いて羽織を脱いで炬燵へと潜り込む。基本的に1人部屋を与えられているはずなのだが私と一さんは大体いつも一緒に居る、それに慣れたが。
私がレイシフトしている間にもこうしてぬくぬくしていたんだろうなぁ、と考えるとずるいなという気持ちに襲われる。
「うわっ、足冷たいんだけど」
「雪山に居たんですよ、冷たいのなんので」
「サーヴァントだから寒いとかあんまりだけど冷たいのは冷たいよなぁ」
「こういう堕落を知ってしまったこともあり耐えられなくなってきちゃいますよー、ダメ人間になる……」
一さんの足がちょん、と触れる。肩まで炬燵の中に埋まり込むと一さんが「ちょっと炬燵の中ほぼ梨沙ちゃんなんだけど」と文句を言ってきた。
「一さんは温まってるからいいかと思いまして」
「えぇ……」
暖かいなぁ、と目を閉じてしみじみしていると一さんが炬燵から出る気配を感じた。ん?と目を開ければ私の方へとやって来ていた。
「それじゃ、暖かくなった一ちゃんが梨沙ちゃんをあっためてあげましょうかね」
「…………」
「何その目」
「いや、一さんすごいですね!そのセリフよく似合いますね!」
「貶されてるよね、これ」
ずるり、と体を炬燵から引っ張り上げられてしまった。ここで筋力の差が出るのか、とぼんやり思った。
「ほらあったかいでしょ」
「……そうですね」
一さんの足の間に座り込む形で抱き竦められた、人の体温と温まった服ですごい暖かいけれど、けれど。
「あの、一さん、動けないんですけど」
「いいのいいの、僕に身を任せてよ」
一さんの両腕が腹部に回る、諦めて体を一さんに預ける。頭が一さんの肩付近に当たる。ああー、このまま眠ってしまいそうだ……。
「梨沙ちゃん?眠いの?」
「んん……ちょっとだけ、ちょっとだけですよ……」
「寝ちゃっててもいいよ、ま……ちょっと悪戯するけど」
「は?」
うとうとしていた意識が浮上する、一さんの手元を見ると袴の結び目に手をかけていてスルスルと解ける紐が見える。
「ッちょ……!」
「第二と変わらないでしょ?大丈夫」
「なにが大丈夫なんですか!元々その格好と、脱ぐのとじゃ……って!聞いてます?!」
「聞いてないかなぁ」
するりと撫でられる様に紐が解けられた袴の両脇から手を入れる一さんに声にならない呻き声が出る、こういうスイッチが入った一さんは助平で、どうしていいかわからないのだ。
「ほらもう脱げちゃった」
「脱がしたの間違いじゃないですか?!もう出ます!」
「ダメ、梨沙ちゃんを大人しく待ってたご褒美なんだから」
「初耳ですが?!」
着物を軽く固定していた紐も解かれる。一さんの手を押さえるも無駄で純粋に筋力負けした。くやしい。
「ね、梨沙ちゃん。このままだと僕に食べられるけどいい?」
「嫌って、言って……止まるんですか」
「止められないね」
ちゅ、と首筋に一さんの唇が触れる。唇を噛んで変な声を出さない様にしていると「噛まないの」と唇に指を這わせられる。そう言うんだったらやめてくれ!
***
「遅かったね、どうかしたの?」
「いや、あはは。なんでもないですよマスター!」
「そうそう気にしないでマスターちゃん」
「土方さんアレ」
「恋仲が遅れてくるなんてやることは一つだろうが」
「土方くん、言い方」
「ああ、でも梨沙さん怒ってるみたいですよ」
「粗方斎藤が手出したんだろ、いつもだ」
「なんの話してるんですかねぇ?!」