「先輩助けてーーー!!!」
「お願い!!!!」
「うわっ、何!」

図書室で資料まとめをしていたら慌ただしく入ってくる立香と藤丸。あまりの騒々しさにここに居た作家サーヴァント が注意していた。

「アルジュナオルタが出ないの……」
「まじで出ない……今の時間じゃないとなんか魔力値がうんぬんとかホームズが言ってたのに出ないんだ……」
「……へえ」
「ダメ押しで梨沙先輩出してくれないかな、って現在に到る」
「ええー、由理ちゃんのとこいってないよね」
「まだでっす!」
「そのまんま行かなくていいよ、多分ほら、彼氏ずっとついてるし他の男呼ぶために行かせないでしょ。知らないけど」
「アッはい」

渋々腰を上げて集めていた本を纏める、司書の式部さんに声をかけて「戻ってくるので」という旨を伝えといた。

「うわどんだけ試みたの」
「言わないで」
「でもなぁ多分私のところのアルジュナが嫌がりそうだけど、オルタのこと」
「同一人物のよしみで出してほしい」
「そして恨む」
「出したくねーーー!」

召喚ルームに入ればめちゃくちゃ落ちてる概念礼装の札、モニターをみてるダヴィンチちゃんも苦笑しつつ「いけるよー」と声をかけてくれた。

「おや、マスター召喚ですか?」
「話をすればアルジュナ来たよ」
「頼む!アルジュナァ!!!」
「なんですか、なんでこんなにも藤丸は必死なんですか……」

たまたま通りかかったアルジュナが顔を覗かせた、藤丸が悲痛な叫びを上げてその様を若干引きながら見ていた。

「アルジュナオルタ引くんだって」
「……ほう?」
「私はうーん、微妙な心境。強いんだろうけど、アルジュナがすでにいるでしょ」
「ええ。……たとえオルタを出そうとも、このアルジュナ負けません」
「何と勝負してんの」

見慣れた召喚サークルの前に立つと魔力を込める、光の輪の中に金色の光が混じる。えっ、と内心ひくつく。

「……アーチャー?」

目の前に出たクラス表示にはアーチャーの絵が出ていた、ん?と小首を傾げたがすぐに現れた。

「あん?おめーが俺の…………ハッハッハァ!俺は運が良いらしい、アシュヴァッターマンだ、よろしくなマスター」
「アシュヴァッターマン……?!貴方記憶が」
「あ?あああるとも、だがなァ。あれはあれだ!今は今だろうが!」
「……ダヴィンチちゃん、これバグ?」
「いや、ステータス値も正常だ。記憶はそのままなんだろう、まぁおめでとう梨沙ちゃん!」

ユガで目を惹かれた赤がそこに居た。私を見るなり笑い声をあげてしっかりとこちらを見据えていた。

「アシュヴァッターマン、すらも来てなかった俺らって」
「藤丸、ここが踏ん張りどころってことだよ。オルタチャレンジ再開しよ!!!今度はオルタ仲間連れてこよ!」
「ついてきてくれるかなぁ」

立香にずるずるとひっぱられ消えていった藤丸、多分セイバーオルタやらオルタに声をかけるのだろう。

「……アシュヴァッターマン、貴方がどう思っているのかはわかりませんが同じマスターの元、共に戦いましょう」
「……アルジュナ、てめぇか……!……くそ、てめえは強ぇ、今は、そんだけだ」
「えっなにギスギスしすぎじゃん……怖」
「マスター……雰囲気を壊さないでください……」
「えっごめん……」
「よし!マスター!ちょっくら付き合えや」
「えっ?カルデア裏ですか?」
「そんなものはありませんよマスター」
「はい……じゃあアルジュナさ、今いるインド系の人たちにアシュヴァッターマンのこと伝えといてくれる?」
「わかりました、それでは後ほど」

靴を鳴らして召喚室から出ていったアルジュナを見送る。ちらりと横目でアシュヴァッターマンを見るとじっと扉を見ていた。
ユガの時からなんかじっと私のことみてたし、ぺぺさんサイドだったからあんまり関わりなかったのになーんか見られてたんだよね、いつ殺されるかヒヤヒヤしてたけどさ!

「えーと、それで?アシュヴァッターマンはなにしたいの」
「文献を見せろ、あんたがレイシフトしたところの文献を」
「……私の?藤丸たちのほうが全部行ってるよ?私時々しか……」
「いーんだよ、俺のマスターはあんただ。俺を呼んだんだからな」
「……むず痒いなー、なんか」


***


資料室では黙々と文献を読むアシュヴァッターマンに真面目なんだな、という印象を抱いた。マハーバーラタの物語を思い出しつつユガの記録を見る。アシュヴァッターマンは本来バラモンであり、簡単に言うと真面目だ。そして、アルジュナに負い目を感じているのだろう、さっきのやりとりを聞くに。

「……あんた、ここは行ってないんだな」
「ん?あー……新宿からセイレムね、サポートに徹してたなー」

結構時間が経ったな、と気付いたあたりで声をかけてきた。藤丸も立香も大変そうだったなーとひと事、ごめんごめん。

「マスター!ここにいたか、夕食が出来たそうだ」
「あ、ほんと?ありがとうラーマ」
「余はラーマだ、よろしく頼むアシュヴァッターマン」
「ラーマ、ラーマーヤナの王か!俺はアシュヴァッターマンだ」

ラーマが迎えに来た、色味がすごい赤い。結構話が合うようで食堂に行くまでの間話し込んでいた。


***


「マスター、明日起きたら出掛けんぞ」
「えっ何ごと」
「今日文献で見たところ、実際に行くんだよ」
「ええ!行かなきゃなの!!!!」
「うるせえ、行くぞ!」
「もしかしてアシュヴァッターマン若干の横暴さ」
「だからなァ、早く寝ろ!」
「まだご飯食べたてです!」

そんなやりとりをしていたらエミヤがこそっと「マスター、命の危険を感じたらこうだぞ、いいな」と握り拳を作っていた。それでいいのかエミヤ。


***

1週間ほどレイシフトしまくった。疲れた!喋り疲れた!アシュヴァッターマンが話せ、っていうから渋々話したけど聞いてる間穏やかな顔で聞くものだから、こう、調子が狂った。

「なんか、好かれてるね」
「……やっぱり?」

食堂で一緒になった由理ちゃん、第三者から見ていてそう思われるのだから相当だろう。

「好かれたような行動した記憶がないんだよね」
「まぁー、でもほら、ユガでも目つけられてたみたいな感じしてたし」
「うんん……もうちょっと仲良くなったら聞こうかな……」

今はまだ、距離がある。最近はむしろアルジュナと一緒に居ることが多い気がする。若干の尋問みあるけど。

「そんな話をすればアシュヴァッターマンだよ」
「ん?あ、ほんとだ。めずらしいアーラシュと一緒だ」

食堂に入ってきたアーラシュとアシュヴァッターマン、アーラシュがこちらに気付いて大きく手を振る、大きく振り返す力もなくでろでろの手首で振り返すとつられて気付いたアシュヴァッターマンがこちらにむけてニッ、と若干のいじわるそうな表情で笑った。

ゴン!

「うわ、痛い音した」
「ハハハ!どうしたんだマスター!なんかあったか?」

そんなんずるい、なんかしらんがめちゃくちゃ好きな顔してた。駆け寄ってきたアーラシュにまともに返事もできず声にならない唸りが出た。



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