◆斎藤さん こんにちは
「新選組三番隊隊長、斎藤一だ。親愛を込めて一ちゃんとでも呼んでくれ。いや、やっぱだめだ。で、あんたがマスターちゃんなわけね。へぇ、いい面構えじゃないの。あ、そうそう、僕ってば堅苦しいの苦手だから、そんな感じでよろしく」
へら、とマスターちゃんに笑いかける。へえここがカルデアなのねとキョロキョロしていると見知った顔を見つけた。
「沖田ちゃん」
「斎藤さんじゃないですか!元気してました?」
「……副長」
「てめェも来たか」
若くして亡くなった元同僚、そして副長。へら、と笑いかければ「ヘラヘラ新撰組……」とぼそっと言われた。
「そういえば斎藤さん、あの人いるんですよ」
「?誰よ」
「マスター!呼んできましょう!」
「そうだね、絶対喜ぶよ」
首を傾げる、沖田ちゃんとマスターちゃんがわくわくしているあの人とは誰なのか。同じ新撰組?僕がわくわくするような人物は……。
「一さん!」
顔をあげる、パタパタと僕の下に駆け寄ってきた梨沙に息を飲む。もう、見る事は出来ないと思っていた。
「……梨沙、ちゃん」
「わー!本当に一さんだ!……でもちょっと大人ですね、寂しい気持ちもありますね」
「梨沙ちゃん」
「なんですか一さん、泣きそうな声して」
「……若いね」
「多分20くらいですので」
僕を庇って死んでしまった梨沙ちゃん。僕の手を握る手は小さくてでも剣ダコができていて本当に梨沙ちゃんなんだ、と目の奥が熱くなった。
「また、頑張ろうね梨沙ちゃん」
「はい!また頑張りましょうね一さん!」
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◆第二再臨
「ちょちょちょ、ちょっとまってよ梨沙ちゃん」
食堂に行こうと廊下を歩いていたら後ろから一さんが慌てて追いかけてきた。
「どうしたんですか?」
「どうしたもこうしたもないよ、その格好どうしたの」
「第二再臨ですよ、いつも第一でしたけど」
「……目線に、困るね」
「沖田さんも同じ様なものですよ??」
「沖田ちゃんと梨沙ちゃんは違うでしょ、僕は梨沙ちゃんの格好が気になるの」
「ええ……」
着物の裾をぺろりと捲ると一さんが「やめなさい」と手を押さえてきた。ぺしと軽く叩かれたが。
「別に下履いてますし……」
「あーもうそうじゃないの、……これが、嫌なら第一にしといたほうがいいとおもうよ」
するり、と一さんの手が私の太腿に這う。靴下の間に指を、着物の裾を擦りながら触れていく様にゾワゾワとして後退りした。
「あ、遊んでる手をしてる!!!!!!」
「いや、そういうことじゃないのよ……」
「……でもなんか、変な、ムニャムニャした感じがこう、襲ってきたので」
「ムニャムニャした感じってなによ……ま!もうやらないからさ、ね」
「次にやったら怒りますからね」
そうは言っても笑って頭をぽんぽんしてくる一さんに怒れる私はいないのだ。
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◆第三再臨
「梨沙ちゃん、第三再臨で新宿に行ってもらってもいい?」
「わかりました!なんで第三なんですか?」
「その方が合うんだ……」
「?はぁ」
マスターがわざわざ頼んできたのに疑問を抱きながら第三へ着替えて管制室に行けば呼ばれていたらしい孔明さんと一さんが居た。
「なるほど、スーツですねマスター!」
「個人的好みなの……」
「ちょ、ちょっとまって、梨沙ちゃん第三再臨ってその服なの?」
「あれ、初めてでしたっけ?これ、着れたかもしれない服なんですって」
「ウッ」
「……そうそうに戦闘不能にさせるのはよしてくれ」
「どこに特攻発言が?!」
膝をついてしまった一さんに駆け寄ると小さな声で「それはだめでしょーが……」と呟いていた、なんのことだ。
「マスター、これではままならないのではないか」
「ちょっと斎藤さんには慣れてもらおうかとおもって」
「永久ガッツ機関すぎるでしょ……全く」
そういう一さんは第一再臨、そしてふと気づく。
「一さん」
「なーに」
「お揃いですね!スーツにコートですよ!」
「……はーーーーーーーーーー……」
「すごい今まで聞いたことのないくらいクソデカため息」
「やはりマスター大丈夫かこれは」
「孔明先生が防御力しっかり上げてくれれば大丈夫です」
「また過労死ラインだぞ」
にっ、と一さんに笑えば顔を手で覆って見上げてしまった。お揃いの何がいけないのだろうか……。
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◆ターゲット集中
敵はアーチャー、新撰組達で行ったものはいいものの不利すぎる。一さん沖田さん山南さんはセイバークラス、土方さんはバーサーカー、私はアサシン。
「沖田ちゃん!」
「わかってます!」
的確にセイバークラスを狙ってくるアーチャーに舌打ちが漏れる、山南さんと沖田さんはマスターを守りながら戦っているため特攻しづらい。
「斎藤!!!!」
「ッ、構うな!副長!」
一さんが射られた、足に弓矢を受けていた。一さんからは使うな、と言われたスキル。多分後で怒られるだろう。
「マスター!土方さんに魔力を回してください!」
「えっ?!」
「私が、引きつけます」
「梨沙ちゃんダメだつったろ!!!!」
「誰を狙っている、狙うのは私だろう!!!!!」
自身にターゲット集中、一気に弓矢がこちらに向いてくるのがわかる。土方さんが敵の核を捉えられる道を、作らなければいけない。
弓矢なんて構うことなく、敵陣へと走る。足にも、至る所に傷を受けているがアーチャーなんて等倍じゃないか。
そして見つけた。
「土方さん!!!」
「よくやった!!!!」
横に飛び退けば副長がぶちのめしていくのが見える、宝具を展開している。核となっていた敵を殺せば周りのアーチャーたちが霧散していく、魔術で出していたようだ。
「いつつ……」
「梨沙ちゃん」
ゴロゴロと転がって回避し、上体を起こすと一さんが近づいてきた。
「……ごめんなさい、一さん」
「ほんと、僕を苦しめさせないでよ」
ぎゅ、と軽く抱きしめてくれる一さん、へらっと笑えば「笑い事じゃないの」と軽く叩かれた。