「おーい、またいつもの奴ら来てたぞー」
「え?」
仮眠室から戻って来た私を見るなり同僚が声を掛けて来た。私のデスクを見ると学校時代に好きだと言っていた飲み物が置いてあり……フ、と笑いが漏れた。
「なーんかいつも入れ違うな」
「あいつら警視庁のほうだろ?わざわざよく来るよな」
「事前連絡無しで来るから入れ違うんだよなー」
飲み物のところにメモが付いている。
『たまにはここにいとけアホ』
『今度デートしようね』
松田と萩原の二人だろう、というかアポ無しで来る方が悪いしデートなんてした覚えないぞ萩原。
そんなことを思いながら缶のプルタブをカシュ、と開けた。
***
「えー、また?」
「あんま見ないやつだった気がするな……」
つい最近に見た光景。デスクの上に飲み物とメモ。
同僚が言うにはあんまり見ないやつ、ということはもしかして班長か?と顔に手を当てた。
『あんま無理すんなよ!』
うん、こんなこと言うのは班長だ。ぐふふふ、と変な笑いを浮かべながらプルタブを開けていたら同僚が「とうとう気でも触れたか……」と言われたので椅子を小突いてやった。
***
「二度あることは三度ある」
「俺が嫌いなところの奴でした、お前の同期たち癖強すぎだろ」
「実はねー問題児組でしたねー私と班長以外ね」
「いや、お前も中々だからな」
置かれたマドレーヌと紅茶、小腹が空いたこの時間に丁度よかった。
『食べに来い』
『無理すんなよ、心配だから』
メモを見てぐ、ぐうううう!と声が漏れる。景光ずるくない?!萩原よりも女たらしだと思うの!
「このメモずるくない?私が思春期だったら大好きになってる」
「これどっち?」
「黒髪の方」
「あー、金髪の方キツそうだもんな」
「あっおわかりで」
マドレーヌはどうやら手作りのようだ、多分あっちの仕事で作ったんだろうなぁ。と一口で咀嚼。
「いや、味わえよ」
「ほひわっへる」
「頬張りすぎだろ」
「……んぐ、……はー!うまいわー、紅茶助かるー」
「まさかマドレーヌも一口で行かれるとはおもってないだろうよ」
小腹も満たされ、首をゴキと鳴らす。よし仕事しよう。
***
そういえば、と思いLINEを開く。皆警察官のため連絡のやり取りは頻繁ではない。
『差し入れありがと、景光と班長今度デートして』
と冗談もおりまぜながら差し入れ感謝連絡を入れておいた。
そういう仕事だから仕方ないが、外回りがないためずっとパソコンと睨めっこだ。目が疲れる、そんな時に差し入れあったりすると嬉しかったりするんだよなぁ。
『デートは諸伏と行ってくれ、無理すんなよ!』
『ねえ網代ちゃん俺とは?!』
『おい何で班長と諸伏だけなんだよ』
『お家デートでも良い?』
『景』
そんな通知がぽんぽん来ていたが仕事に向かっていた私は気づかなかった。
そしてLINEがこれからヒートアップすることにも気づかなかったのである。