※諸伏も捜査一課

「こんにちはー、諸伏くん居ますかー」
「あれ?珍しいな、こっち来てるの」
「息抜きです。諸伏じゃなくても伊達でもいいんですけど」
「松田と萩原なら居るけど」
「う、うーん……は、萩原で」

珍しく外に行っていた私は警視庁の捜査第一課に顔を出していた。
いつも差し入れに貰っているお礼に、あと皆さんでどうぞと言った風にお土産を沢山持っていた。

「え!網代ちゃんじゃん!どうしたの!」
「しー!松田にバレるだろ!めんどくさいんだから!」
「あっ」

ぱたぱたと走って来た萩原の横面を軽く叩いて口を閉じさせる。

「景光と班長は?」
「外回り、もうちょっとしたら戻ってくるんじゃない?」
「えー、じゃあ待ってようかなー」
「ていうかさ!なんで諸伏ちゃん贔屓すんのよ!」
「え?だって人として良すぎる、班長はもちろんだけど」
「ええ……」

なんか納得いっていない顔をしている萩原にお前自分の行動見返せよ……と心の中でぼやいた。

「まぁいいや、とりあえずこれ大入りの差し入れ。一課で食べて」
「え!まじ?あざーす!」
「あっ、ちょ」
「サイバー局の網代ちゃんから差し入れでーす!」

大声で差し入れを掲げる萩原に頭を抱える。ありがとなー、という声に紛れてアァ?!とオラついた声が聞こえる。そりゃそうだろう。

「てめえなんで声かけねえ」
「ワスレテマシタァ」
「人の顔見て言えや!」

肩を力の限り組まれてぐえ、とカエルのような声が出る。萩原を見るとごめーんと言ったように手を合わせてた、こいつ。

「今度飯付き合え」
「えー、ラーメン食べたい」
「珍しいな、お前がラーメン食うの」
「最近開拓しようかなって思って来た、でも腹持ち悪いよね」
「まー、米には負けるわな」
「ごめんごめんつい言っちゃった、許して網代ちゃん」

松田にそう言えば携帯を触り始めた。多分調べてくれてるんだろう、そういうところはいいやつだよなぁとしみじみ思う。
もどってきた萩原の肩元に貧弱パンチをお見舞いすれば絶対そうじゃないだろうに痛いーと言っていた。

「戻りました、ってアレ」
「戻りましたー、っておお?!お前らに隠れてて見えなかったぞ」
「班長ー!!っと……景光ーー!!」

戻って来た二人がこちらを二度見して驚いていた。今の私は松田に肩組まれ萩原が前に立っているから角度によっては隠れるのだろう。
感動の再会ばりに班長に抱きつき掛けたが妻帯者だ!と思い出しぐるんと方向を変えて景光にハグしておいた、ハグ仕返してくれるこの男is何。

「生きてるね、よし」
「網代が助けてくれたからね」
「なんかさ、景光の発言心臓に悪いから喋らないでほしい」
「暴論じゃねえか」

私に捉えられている景光に変わって班長が報告に行っていた。ごめん班長。

「よし、栄養補給もしたから帰るわ」
「え?網代ちゃん俺ともハグしていく?」
「……記念にしておくか……」
「不本意みたいな感じで笑っちゃうんだけど」

ふわり、と香る香水とタバコの匂い。あんまり香りつけないようにねと言えばやっぱりわかる?と帰って来た。

「……ん」
「え、なんでサングラスかけてんの」
「何でも良いだろ!ほら!来い!」
「わたしゃ犬か」

腕を掴まれてべちん、と松田の胸元に当たる。ファンデが着いちゃうだろうがとシャツを軽く叩いた。
松田はタバコの匂いが強めだ、多分さっき吸っていたんだろう、こいつらヘビスモだよなぁ。

「班長はこれ」
「ん?ああ、懐かしいな!」

学校時代によくやっていたハイタッチからのグー。ついでに手首を掴まれて痩せたか?と言われた。痩せてるんじゃない、痩けてるんだ。

「あ、これ四人に差し入れ。いつもありがと、すれ違ってるけど」
「本当にな、いつも居ねえ」
「連絡くれれば良いのに」
「返事返さないのはどこの網代ちゃんだっけー?」
「うふふ、知りませんわ」

四つの味違いの差し入れだから選んでよ、と言えばありがとな。と班長から一声、やっぱ班長がいると身が締まるわ。

「下まで送るよ」
「え、いいよ。隣に行くだけだし」
「オレがしたいの、ダメ?」
「ぐ、うううう」
「まーた諸伏ちゃんが網代ちゃんをダメにしてる」
「これ以上景光沼にハマったら携帯を遠隔操作しちゃう……!」
「ブハッ、すげえ言葉」

結局子犬のような目で景光に見られた私は両手を上げて下まで送られることになった。

「零と会ってるか?」
「全然、だって忙しいじゃん降谷」
「網代も忙しい部類だからな?外に行くことがあんまないところだけど」
「まーねー、まぁでも私が強く居られるところだから」

ぴす、と指でブイを作れば軽く笑んだ景光に頭をポンポンされる。ほげ、と固まっていればそのまま軽く包まれた。

「上書き」
「な、なんの?!」
「いいからいいから」
「私思うの!萩原よりも注意すべきは景光!敵!アラサーを揶揄うな!」
「嫌ならやめるよ、こういうの」
「……私が強く言えないのを知っていてそう言うこと言うんだふーん」
「ハハハッ」

また!と声を出して手を振れば携帯を取り出す景光。カシャと音がした。なんで私の写真?と思えば何事もなかったかのようにまたなーと言われた。え?今の何。


***


『さっき網代がこっちに来たよ』(写真添付)
『……公安に戻ってくるか?景』
『今度こそ死にそうだ』



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