ガチャ、ドン……。
パチ、と目が覚める。こんな派手に音を出しながら入ってくる人物に心当たりは無い。マットレスの下に確かナイフがあったはず、と寝たフリをしながら神経を尖らす。
……すると、いつも嗅ぎなれた香りと強いアルコールの香り。
「え、ムリナール?」
「…………そこにいたのか」
いつも着てるコートを乱雑に投げるムリナールに目が点になる。
慌てて駆け寄ればどれだけ飲んだんだ、と言うくらいのアルコール臭。飲まされた、が正しいのだろうか。
「お水飲んだ?」
「……いや」
「飲んだ方がいいよ、ほら」
寝る前に近くに置いたコップを差し出す、とろんとした眼はコップを見て私を見た。
ムリナールはコップを手に取り口に含めば、私の顔を片手で掴み。
「……?!ん、んん!!!???」
私の口を食んだ。溢れ出す水に焦り口を開けば口内へと流れ込む、酷くアルコールの味もする、くらっとくる程度には。
「っは、ムリナール……!!何考えて、」
「……お前を、手篭めにしたい」
「、は?」
ネクタイをずらし、ワイシャツのボタンを外していくムリナールに頭の警鐘が鳴る。
このままだと、流れでヤられる。でもムリナールから逃げられるのか?無理だ、行為が嫌なのか?……別に嫌ではない。でも、ムリナールにそういう欲求があるのか?!と頭がぐるぐる回転していく。
「ムリ、ナール!ちょっと、落ち着けって……!」
「落ち着いている」
「絶対嘘!こんな酒臭くて落ち着……!」
するり。と寝巻きの裾からムリナールの手が入る。
手袋も外されたムリナールの手が、腹部からどんどん上にあがり下着に触れた。
やばいやばいやばい、とムリナールの手を両手で押えていて気づかなかったが、どんどんベッドの縁に追いやられていた。
「ッ」
体勢が崩れた。と同時にギシ、とムリナールがベッドに乗りあがってきて軋む。私の顔、身体を全て覆うように影が掛かる。ネクタイも放られシャツも胸元が見えている。こんな無防備なムリナールは久方ぶりで何も考えられない。
「リサ」
名前を呼ばれながら身体が近づいてくる。
力じゃムリナールには勝てない。どうにか這い出ようと体勢をひっくり返し動こうとしたが、悪手だったようだ。
「……無防備だ」
「ッ、ムリナール……!!」
する、と項が手で覆われる。そのままつう、と指先が肩甲骨、背中…………そして尾ていの尻尾へと触れる。
「ッ……!」
付け根が触られる。そんなところ滅多に触らせないのに……!
吐息のような声が漏れる、くり……と付け根を重点的に触れられ絶対に意図的だ!と視界がぼやけていく。
「腰が上がっている」
「本、能だって……!!んっ、あ〜…………」
尻尾全体を撫でられたかと思えばきゅう、と力を入れられ握られる。
尻尾の付け根を触られると勝手に腰が上がる、恥ずかしくて仕方ないのにムリナールの手は尻尾から離れない。
獣人用の服は尻尾を通す穴が空いている。だが私はわざわざ買うのが億劫で普通のショートパンツの寝間着を少し下にずらして履いていたのが、裏目に出た。
する、と脱がされる感覚。腰の上がった体勢に、下着だけになる下半身に羞恥心が強まる。
「ッ、ちょ!」
「……言っているだろう、専用のものは意味があると」
「寝てるだけ、なんだから……!ム」
ムリナール、と声を出そうとしたが叶わなかった。
する、とムリナールの手が尻尾から下り敏感な所へ指が滑る。下着越しにすり、と指先が触れて身体が跳ねる。
「……濡れているな」
「ッ〜!」
すり、と撫でるような愛撫をされて腰がくん、と動くのがわかる。無意識だ。
くちゅ、と軽い水音だったのが時間が経つにつれて深い水音になり下着も水分を吸って意味のない物へと変わっていく。
甘イキが止まらない、これはムリナールが触れているというのもあって、もう、最悪だ。
顔も見られたくない、声も聞かれたくない、枕に顔を埋めていると呼吸が苦しいが知ったことじゃない。
「息をしろ」
首を持ち上げられて顔が上がる。新鮮な空気が鼻を通る。顔がベタベタする、自分の涎やらなにやらで汚い気がする、最悪だ。
「……ッ、なんて顔をしているんだ」
「ムリ、ナールの、せいでしょ……ッ!」
一瞬目が合った、ムリナールの目には普段一切見えない情欲の色が出ていてきゅう、と中が締まってしまった。私、この男性と、エッチがしたい。
ぺたん、と耳が倒れる。それを見てか知らずかクロッチをずらしてムリナールの指が直接触れる。
にゅる、となんの抵抗もなく入るムリナールの指。どんだけ濡れてるんだ、と自分が嫌になる。
「リサ」
「っく、きゅ」
喉が鳴る。そして覆い被さるようにムリナールが近づいてきて、匂いが強まって、頭がクラクラする。もう何も考えられない。
「ぁぐ、むり、なーふ……!」
無防備な口に指が突っ込まれる。尖った歯をなぞり舌を捉えてくる指は無遠慮だ。
口にも、膣にも指を入れられもうなにがなんだか分からない。いつの間にか膣の指は増えていてトントン、と壁のざらつく所を愛撫されて言葉にならない声が漏れ出る。
「いふ、!いっふぁう……!!!」
「達しておくといい」
「やらッ、やめへ……ッ!」
さっきから甘イキしてる身体には、キツイ。それでいてムリナールの低い声が耳を擽り快感が全身を走る。あ〜ダメだ。ダメになる。
「〜〜〜ッ、!!!!」
ぐちゅ、と淫らな水音が響く。良い所を重点的に弄られて呆気なく達してしまった。
はー、はー、と息をしていると口内と膣から指が抜かれる。もう全てぐちゃぐちゃである。
身体をくるん、と回転させられ仰向けになる。
「はーッ…………ッ!!!やだ、!見ないで……!」
とろ、溶けて居たらムリナールと目が合い我に返る。
慌てて両腕で顔を隠すも抑えられてしまい、羞恥心から涙が出る。
「泣くな、困らせたくはない」
「ッ、…………恥ずかしい」
「その姿すら、愛おしいと思うのだから」
はへ、と間抜けな音が口からこぼれ落ちる。ムリナールの顔が近づいたと思えばちゅ、と軽く触れる唇。
そのまま数回したかと思えば薄く開いた口に舌がねじ込まれる。
「ん、んっ、ふぁ」
あれ、どうしてムリナールとキスしてるんだっけ。と我に返るも気持ちいいな、という感情に呑まれる。
ムリナールが顔の横に肘をつく。きもちいい、ムリナールの香りがして、心地良い。
無意識に腕を伸ばしていたらしくムリナールの首後ろへ回せばどこからか生唾を飲むような音がした。
「……余り、煽らない方がいい。辛くなるのはリサ、君なのだから」
「、え?」
舌と舌を繋ぐ銀糸がぷつん、と切れる。
あれよあれよと上に着ていた服を脱がされた、ムリナールもシャツを脱ぎベルトを外す。ふ、と下を見ればスラックス越しにくん、と上に向いているものと目が合う。
え、待って、ムリナールって私で勃つの。そう自覚してから、ムリナールが見れない。
スラックスも脱ぎ、下着1枚のムリナールと上の下着1枚の私。下のパンツ?いつの間にか床に落ちてるよ、水気を含みすぎて雑巾みたいだ。
「待って、でっ……」
かい。下着越しででかいと分かるそれは、中に入ったら苦しくなるだろう!と言うサイズ感をしている。
「君は風情が無いのか?」
「いや、だって、そんなの入らな」
足を引っ張られてムリナールのが下着越しにぴったり密着する。私の愛液でムリナールの下着の色が変わっていく。
「まだ挿れはしない」
「ぃ、ん」
くりゅ、と敏感なところに擦られて腰が逃げる。逃がさない、と言った様に腰を掴まれてそのままぐちゅと音を鳴らす。こんなの、擬似セックスだ……!
「ッふー……」
ムリナールの眉間にシワが寄る、疲れなどでは無い耐えている表情をしたムリナールにこちらの喉が鳴る。
ずりゅ、と布越しに擦られる。あー、また甘イキしちゃうって、まずいって。
意識がそちらに行っていたので気づかなかったが、上の下着もいつの間にか取られていた、正真正銘の全裸である。
「……傷が、増えているな」
「ぁは、んん……そう、かも……ッ」
胸近くにある真新しい傷を手のひらで撫でられたかと思えばそのまま乳房を撫でられる。興奮か、温度差か、先端がぴんと立っているようで軽く弾かれた。
「ッ!」
ビクッと体が跳ねる。
下ではぐちゅと淫らな音を立てながら素股が行われているし、上はムリナールの指で遊ばれている。
自分の口からは獣のような吐息が漏れる。
「ッ〜……!」
ちら、とムリナールの顔を見れば汗が伝って私の腹部へと落ちた。
ゆっくりと手を伸ばしてムリナールの前髪を撫ぜれば、目が合う。
「ムリ、ナール」
「……どうした」
「……すき」
無意識だった。鳩が豆鉄砲を食らった、という言葉があるがそのような顔をしたムリナールを見るのは初めてだった。
「ちゅう、して」
返事はない。が直ぐに顔が近づいてきて唇を食まれる。淫らな水音が止まる、薄く目を開けばギラギラと男性の欲求に目を染めたムリナールがこちらを見ている。ぁ〜……抱いて、えっちして、ぐちゃぐちゃにしてほしい。はしたないと思われるかな、だめかな。
どうやら下着を脱いだようで先程とは比べ物にならない質量、熱量のものが宛てがわれる。
「……いいか」
「ぅんッ……挿れて、ムリナール……」
「……リサ、君は……私に愛されているという自覚を、持った方がいい」
苦しい。圧迫感。そういえばゴムしてなかったかな、まぁ、後で薬を、と苦しいながらも息を吐き出し考える。
ずりゅ、とゆっくり中に入っていく。
「ぁ、ぅん……ッ……はー、くる、しい」
「ゆっくり、息をしろ」
「んぅ、……ムリナール、すき、すきなの、ごめんね」
「ッ」
ご、ちゅんッ
一気に最奥まで挿入されて目の前がチカチカする。こんなの、暴力でしかない……ッ!もう、思考が回らない。
「……ッ、すまないが、煽るな……手加減が出来ない」
「──────ッ……♡」
ムリナールの前髪が、顔に落ちてくる。ちゅう、と自分からムリナールにキスをすれば珍しく舌打ちが飛んでくる。
どちゅっ、暴力的な質量が動く。内壁を抉る。
可愛い喘ぎ声なんて出ない、呻き声に近い嬌声が漏れ出る。
「ッハ、ハ……ハハ、いつだって、お前は可愛い」
「っぐぅ、ぁッ……ッ!」
「本当は戦場にだって、出したくはない……」
独り言のような、ムリナールの言葉。頭に入ってこない。
する、と指を絡めて握られた手のひらは覆われてしまいムリナールに全て、支配された気になる。
「ッ……!きもち、い……♡」
「……抱き潰して、しまいそうだ」
「ぅん……?ぃいよ、ムリナール、なら……♡」
ぐちゅっ、ぐぽっ。良くない音が聞こえる。
脳が蕩けて自分で何を言っているか分からない。
ムリナールの絡んでいた手が離れる、その手が私の足を掴んでムリナールの肩へと掛けさせられる。
そのままぐぐぐ、と押し込まれ最奥の奥までごつん、と剛直が当る。これ、良くない。
「ぁ、ぐッ……!」
「ハッ、ハ、……リサ……」
ぱちゅんっ、ぱんっ。肉が当たる音。
何分こうしているのか、分からない。その間何回達しているのかも分からない。
「むり、なーる、……なかで、いいよ……」
「ッ、きみは……」
「おくすり、もらうから……ッ♡……なかが、いい……」
すり、と自分の腹部を撫でる。浮き出るムリナールのそれは子宮がありそうなところまで主張している。
動きが早くなる、ぐちゅんと奥を突かれる度に高い声が出てしまう。ぁ、あ、またイっちゃう。
「リサ……ッ」
ぶる、と震える。奥に暖かいものが、注がれる。ムリナールの子種。
はー、はー、と私も同時にイってしまい全身で呼吸をする。ずるり、と抜かれると栓が抜けたように中から液体が漏れ出る感覚。
「すまないが、」
まだ付き合ってもらう。と体勢を変えられ再び宛てがわれるムリナールのもの。精液で滑りが良くなった中はすんなりと再び受け入れるのだった。
***
起床、死にたい。
夢だと思いたいがそうも言ってられない体の痛みと痣と噛み跡。
はー、と両手で顔を覆えば頭のすぐ上から低い、掠れた声が聞こえる。
「……ムリナール、起きて」
「…………まだ、起床時間では、無いはずだ……」
ぐ、と抱き寄せるように腕を伸ばしてくるムリナールにぅゎ、好きだ。の感情に支配される。
「お風呂入りたいの、お湯張るけど入る?」
「……入ろう、……共に」
「えっ」
珍しい、と目をぱちくりしていると我に返ったのか「……失言だ、忘れてくれ」と言われてしまった。一緒に入ろうね、とムリナールの頭を撫でれば耳が横に倒れる。
起き上がりベッドから降りて硬直、どろりと中から垂れてくる。
「……どうした」
「あー、うん、中から垂れてきて…………」
「……はー……………………」
「なにそのクソデカため息……」
「来い」
「えっ、ちょ、何!」
ベッドの中に逆戻りしてしまった私はまた食われる事になりました。ちゃんちゃん。
───────小ネタ
「なぁ、今通った人……」
「リサさんだろ?どうかしたか?」
「あ、お前エーギルだっけ、匂いとかわかんない?」
「一般的な匂いは分かるけど、流石にお前のような獣人ほど敏感じゃないな」
「あー、さっきのリサさんってフェリーンだよな。………………なのにめっちゃクランタの匂いがしてさ」
「一緒によく居るだろ?背の高い……」
「なんつーか、こう、マーキング……?誰のものか、って感じの……」
「失礼、そこを通らせて貰ってもいいか」
「あっ、はい!すみません!……おい!怒られるだろが……ってどうした?」
「あー、いや、そうか、そうか……………………俺も彼女ほし〜!!!」