※葉流火 ちょっと 重い
ガチャ
「……」
「ごめん、見てない」
「別に、梨沙ならいい」
部室の扉を開けると葉流火が着替えていた、そりゃもう結構しっかりと。
着替える時は鍵をかけろと伝えたはずなのに、どうしてこうも……、と頭を抱えた。
「ちょっと、ちょ、着替え続けないでよ。私出るから」
「別にいい」
さも気にしてません、といった風に上半身のインナーを脱ぎズボンのベルトを外す葉流火に制止を促すも無駄だった。
流石に扉開けっぱなしはいけない、と思い扉を閉めるもこれじゃ私と葉流火の密室じゃ!と2度目の頭を抱えた。
「見てないから今のうちに着替えちゃって」
「……」
「おーい、葉流火ー?」
「梨沙は、恥ずかしいの」
はぁ、と軽く息を吐いて背を向けスコアラーを開くも葉流火から返事が無い、こいつ反抗期か?と思った矢先に背中に体温。
葉流火の声が頭上から降ってきて、流石に心臓がびっくりした。
「は、はる」
「……梨沙縮んだ?」
「縮んでねえわ!葉流火がでかくなったの!というか近いから、着替えて」
「……」
「不服な顔しないで」
顔を上げて葉流火を見る、下からだと顎元しか見えないが不服な顔をしているのは察した。
顎下を指先でちょんちょん、としてみるとすっ、と離れてくれた。
「最近梨沙が圭ばっか構う」
「ゴホッ、そんなこと」
「ある、一緒に寝てくれない」
「高校生になったんだから恋人とかでもない人と一緒に寝ないよ」
「なんで、梨沙はずっと一緒に居てくれるんでしょ」
「いつの約束よ……」
「小学校」
「無効無効!葉流火だって好きな人が出来るんだから、私だって恋人が出来る、やも、しれ……」
「駄目」
ぐ、と引き寄せられる。腹部に回った葉流火の腕。いつの間にかこんなに体格差が出ていたのか、となんだが他人事の様に考えていた。
「おれには梨沙だけ」
「……圭もいるよ」
「?圭は圭だ」
「私とどう違うのよ」
「……なんか、こう、梨沙が他の人と一緒にいるのは嫌だ」
「……千早とかとは?」
「正直、嫌だ」
幼馴染の独占欲、それも可愛いものじゃない独占欲。
そんな感情を向けられていると言うにも関わらず内心ちょっと嬉しい、私がいる。
「じゃあほら、ちゃんと葉流火が見とかないと私どっか行くからね」
「ん、縛っておく」
「そうじゃないんだよなぁ」
***
「梨沙」
「梨沙は?」
「……」
「あの、どうにかなりませんか?アレ」
「これに関しては本当にごめんと思っている」
授業の合間時間になると葉流火が顔を覗かせる率が倍増した、というか毎時間来る。
私は葉流火に弱いので、強く言えない。言おうとすると葉流火と目が合い、負ける。
「おい清峰、網代はお前の彼女でもねーだろ、せめて来んなら昼休みとかくらいにしろ」
「?梨沙は彼女じゃない、でも俺は梨沙が居ないと駄目だし梨沙も俺が居ないと駄目」
「オフッ、すみませんあまりの重さに」
「何?今俺当て馬にされたの?」
「ちょっと葉流火おいで、話しよう」
葉流火を連れ出して廊下に出る、後ろで千早の「これが幼馴染教育の失敗ですよ、藤堂くん」と言ってるのが聞こえ内心中指を立てた。
「葉流火来すぎ」
「でも梨沙が見とけって言ってた」
「言った、言ったけどそんな毎時間見なくていい。クラス戻るよ」
「……」
不満げな顔、ムーミンみたいになっている顔結構好き。
しかしどうしたものか、葉流火には野球を今は見ていてほしい。のでこういう感情に振り回されてほしくない。
「やぽ、梨沙ちゃん」
「圭、ちゃんと葉流火見てて」
「だって〜、葉流たんってば授業終わるとすぐそっち行っちゃうんだもん」
「圭だって、梨沙が居ないと駄目だろ」
「ンンッ……んー、んーーーちょっと圭ちゃんわかんない」
「おい」