インタビューなんてこっぱずかしいからやらなくていい、と例年言っているのだがそうは行かない。
こんなBirthday Girlのサッシュが嫌でしょうがない、イデアには「ああ、そんな時期でござったか」と言われながら祝われるしアズールには高らかに「お誕生日おめでとうございます」と言われ注目を浴びた、あの野郎。
「お誕生日おめでとうございます」
「ありがとう、監督生くん。インタビューの手伝いなんて大変だね」
「学園長から言われてしまって……皆さんにお祝いされてどうですか?」
校内新聞に載せる誕生日の人へのインタビュー、そんなまじまじと見る人はいないだろうけどインタビューを答えるのが嫌で仕方ない。まぁ、監督生が悪いわけじゃないが。
「まぁ、3年目にもなるしね。いつも通りかな……。まぁでも新しく後輩が増えてるからさらに賑やかだったかな」
「後輩の存在は大きいですか?」
「大きいね!ほら、特に私のところの寮なんて問題児代表2人がいるでしょ?リドルを怒らせてなくても賑やかでね、……まぁいい方で賑やかとは言ってないよ」
「なにか欲しいものはありますか?」
それ、トレイたちにも言われたな、とぼんやり考えた。欲しいもの、欲しいもの……。
「あまり思いつかないんだよね、物欲が無いのかな……」
「珍しいですね」
「トレイとか毎年困ってるよ、今年も聞かれたから同じように答えたからそういうと思ったよ、って苦笑いされちゃった。エースにはこういうときは高いの言っとくんすよ!って言われたし」
「エースっぽい……そういえば恋人がいると伺いましたが」
「おい誰から聞いた、そんでこれ新聞に載せないでよ」
「その筋のハートの人やスペードの人ですかね……。載せませんよ、興味なので」
エース、デュース、覚えていろよ。監督生をちらりと横目で見れば軽く微笑んでいる、これは最初から多分、知っていたんだろうな。
「お祝いはされたんですか?2人で」
「……いや、してないよ。そういうのはよくわからない……というかもうこの話は終わり!いいね!」
「ふふ、そうですね。ええと……幼少期のお誕生日の思い出はありますか?」
手で顔の熱を冷ますようにパタパタと扇ぐ、こんな微力な風じゃほぼ意味がない。
「幼少期……それこそトレイとリドルとは幼なじみでね、リドルとは中々会うことが難しくなったけどトレイには毎年お祝いをもらっていたよ。トレイの家のケーキは美味しくてね、甘いのが苦手な私でも好物の1つだったよ」
「トレイ先輩のケーキはおいしいですからね、一番美味しかったものはありますか?」
「そうだなぁ……監督生も食べたことはあると思うけどケーキはもちろん、料理もできるんだよ。私はできないけど。ハンバーグが絶品だったなぁ」
「……ふふ、そうですね」
「?なんで笑ったの?」
「以前トレイ先輩のバースデーインタビューした時にハンバーグが得意だと言っていたので」
「…………あー、もしかして私自分で墓穴掘りました?」
「良いこと聞きました」
「新聞に載せないでね……」
「良い感じにまとめておきます。あー、最後にひとつだけ」
「ん?」
「今楽しいですか?」
「……うん、楽しいよ。ありがとうね、監督生」
「色々とお話をむしろありがとうございました。改めておめでとうございます」
照れ臭くて軽く笑う、同時に部屋を出ればリドルから「おかえり、どうだったんだい?」と聞かれたので「やっぱりインタビューは私は苦手だよ」と答えておいた。