「主役なのに悪いな」
「いやいや、もう3年目となると祝われなくていいのにって気持ちになるからいいんだよ」
「ハハ、俺の時もそうだった」
カチャカチャと綺麗になった皿が仕舞われていく。厨房にはトレイと私だけ、リドル達には主役なんだから、と言われたがこっちのほうがしょうに合っているのだ。
「よし、終わりだな。ありがとう梨沙」
「やーーーーっとこの服からもおさらば出来る……」
「……さて、ここからは個人的にお祝いさせてもらってもいいか?」
「は?」
トレイの言葉に目をぱちぱちとさせながら隣のトレイを見た。にっこりと笑っている。
「……何をするので?」
「敢えて聞くのか?大胆だな」
「イッ……」
腰にするりと添えられた手に身を固める。正直慣れない、そうだともトレイをそういう対象として、そういう関係になったのは半年も経ってないのだから。
「ハハハ、今すぐにとは言わないさ。疲れただろ?」
「……トレイは元気だね!?!?!?」
「そりゃあ、付き合って初めての梨沙の誕生日だろ?」
「記念日みたいにしなくていいから」
「まぁそれとは別にプレゼントもあるしな、とりあえず先に風呂に入ってきた方がいいんじゃないか?」
「うーん、そうする」
シャワーを浴びながら項垂れる、これじゃさも今から行為します!って言ってるみたいじゃない?!?!?!
まぁ、もう、処女ではない、けど……とても頻繁に、やってるわけでもないし、未だに照れが出る。
「トレイ入る?あったかいよ」
「……ああ、そうするよ」
タオルでガシガシと髪の毛の水気をとっていく、ある程度取れたところでパタンとベットに倒れ込む。今日はいろんなものを貰った、リドルからは綺麗なインクを貰った。角度によって色味が変わるすごいもの、ケイトからはなんとも言えない顔をしているぬいぐるみをもらった、そのなんとも言えない顔がツボだった。
「……寝たのか?」
「起きてるよーん」
「髪の毛まだ濡れてるじゃないか、ほら」
「世話焼きトレイ発動してる……」
タオルで乾いていく中、手で髪の毛を撫でられる。人に乾かされるというのはなかなかに眠くなる。
「梨沙」
「んー?」
「お誕生日おめでとう」
首元にひんやりとしたものが当たる、うとうとと目を閉じていたが弾けるように目を開いた。
首元を見ればシンプルなシルバーアクセサリーが居た。
「な、なにこれ」
「ネックレス、だな」
「……私に?」
「おいおい、この状況で梨沙以外にってのはないだろう?」
「……あ、ありがとう、なんていうか、うん……嬉しい」
ネックレスに触れる、チャリとチェーンの音が聞こえる。
うん、嬉しい、なんていうか、じわじわと、嬉しさが上がってくる。はー、と息を吐いてトレイに寄りかかる。
「ありがとう、トレイ」
「喜んでくれて何よりだよ」
「トレイがアクセサリーくれるなんてすごく、意外だった」
「重いかとは思ったんだが……重い男にはなりたくなくてな」
「大丈夫多分もう重いよ」
「なんだと」
ちゅ、と首元にトレイの唇が触れる。軽く笑ったようで息がかかる、くすぐったい。
「さて梨沙」
「……おやすみトレイ!」
「ちょーっと寝るには早くないか?な?」
「……やっぱりする?」
「嫌か?」
「その聞き方は、ずるいよね……」
「悪いな、確信犯だ」
そのまま2人してベットに倒れ込んだ。首元のネックレスが肌に触れて冷たかった。