風が強い日だった、時折吹く突風に目をつむった。
「風すごいねえ」
隣で暴れる髪の毛を抑えている梨沙、獣人の生徒は尻尾などに砂が絡んで大変だろうな、と思った。
「うわ、見てあの人すごいことになってる」
「ジャケットが、ひっくり返ってるな……」
風で煽られジャケットがほぼ意味を為してない生徒が視界の先に居た、こう言う時スカートは大変だろう、と思ったが梨沙はいつも黒パン履いてるから大丈夫、といばるんだったな。
「あっ」
ぶわ、と巻き上がるような風が通る。おっと、と声を漏らしながら眼鏡を抑えたが正直、それどころじゃなかった。
梨沙が声を出したと同時にふわりとスカートが浮かぶ、ばっちりと捉えてしまったそれはいつも履いてるから、と豪語した黒パンではなく、下着だった、と、思う……。
「…………見た?」
咄嗟にスカートを抑えた梨沙、ぽそりと呟かれた言葉に俺は、ひどく力強く、頷いた。
「そこは見てないぞって言うところだろ!!!」
「す、すまない、つい」
「あー、もう!黒パン履いてない時に限ってこれだよ」
さほど怒ってない梨沙の姿を見てふう、とため息。眼鏡をもう一度あげ直したが俺の脳裏にはさっきの光景がこびりついていた。
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「あ、もしもし?梨沙ちゃん?」
『ケイトか?悪い、梨沙は今手が離せなくてな』
『どーしたのケイトー』
梨沙ちゃんに電話をかけたはずなのにトレイくんが出た、この出来事に驚かなくなったってことは俺も一人前になったかな。
「明日の一限、レポート用紙必須になったからっていう連絡!電話の方が早くて」
『了解ー!ありがとー!』
『ああ、それとケイトこれは別件なんだが、明日の茶葉は戸棚じゃなく引き出しに入ってる方を使ってくれ』
「引き出し?オッケー!了解!んじゃおやすみトレイくん、梨沙ちゃん」
『おやすもー』
『おやすみ』
通話を切った後に小首を傾げた。
「なんで日跨いでるのに梨沙ちゃんと一緒なんだろ、トレイくん」
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「おぬしはトレイのどこが一番好きなんじゃ?」
「どうした急に」
リリアのセリフに思い切り返してしまった。
トレイのどこが好き……。
「顔、かなぁ」
「おぬし……」
「顔かぁ……」
「なんで笑っとるんじゃ……」
それを聞いたトレイは満更でもない顔をしていた、なんでちょっと笑ってるのトレイ……。
「いやぁ、照れ隠しだろ?」
「いやいや、顔良いじゃん?ね」
「うーん、ちょいとキツ目じゃろ?わしのほうが可愛いな」
「リリアと比べたらダメだろ」
「確かに眼鏡外したらきつい……かなぁ?」
まじまじとトレイを見た、うーん、好みの顔をしているなぁ。
「……だからなんで笑うのトレイ」
「なんでだろうな」