◎みんなで「ごめんなさい」



「みんなひっどーい!」
「ごめんな菊地。いや、別に菊地のことを信じてなかったわけじゃなくてな…」
「じゃあなんでよー…」
「えっと、それはだな…」
「(じー……)」
「あー…(そんなに見られても…)」
「ほらね、なんにも言えないじゃん。うわーんしゅうやー!」
「だーっ!ほんとごめんって真央!」


必死に謝る円堂と風丸くん。ひたすらいじける私。苦笑しながら私を慰める修也。サッカー部部室は普段とは少し違ってじめっとした雰囲気になっていた。



▽ △ ▽ △



事の発端は昨日の帰り道でのことだった。
“イナズマイレブンの秘伝書が理事長室の金庫の中にある”
雷雷軒のおじさんからありがたい情報を入手した私は翌日、すぐさま夏未の力を借りに彼女の元へとやってきた。はじめは渋っていた彼女も私の頼みならということで特別に金庫の中からその秘伝書を出しておくと約束してくれて、そして放課後、部活の前に例のものを受け取りにと理事長室を訪れたのだが。


「あれ、みんななにやってるの?」
「真央!」「真央さん!」「菊地!」


そこにはいるはずのないサッカー部のみんながいて、夏未は彼らのことを呆れたように見ていて。えっとつまりこれは……


「もしかして…忍び込んだの?」



▽ △ ▽ △



その場にいなかった修也は1人部室に残っていたらしい。が、他は皆理事長室という大事な部屋に忍び込み、挙げ句の果て重要なものが入った金庫を開けようとしていたのだ。良心が痛まなかったのかどうかということもあるが、それよりもだ。


「もし先生達にバレたら大問題になるとか考えなかったの?そしたら大会自体出れなくなっちゃうかもしれないんだよ?」
「…メンボクナイです」
「そうなることを防ごうと私は自分のコネを使って穏便に秘伝書を手に入れようとしてたのに…みんな私と夏未が友達だって知ってたよね?」
「ああ…」
「……私、そんなに頼りないかな…」
「いや、そんなことは…!」
「真央、ほんとにごめんな?」
「…………」
「……真央、そろそろ許してくれないか?」


俺も含めてみんな反省してる。
椅子に座る修也の膝に埋めていた顔を上げれば、そこには至極申し訳なさそうな顔をした風丸くんと手を合わせて謝る円堂、そしてちょっと離れたところでしゅんとしたみんなの姿が目に入った。
…今回のことはきっとみんなだけが悪いんじゃない。いや、忍び込んだことはいけないんだけど。でもちゃんとみんなに話をしないで1人で突っ走った私もいけなかった。それを自分の力がないばかりにとか私はそんなに頼れない子なのかとか変なことを考えてしまって、拗ねて、そしてちょっと言い過ぎてたかもしれない。


「…私もごめんなさい」
「菊地…?」
「自分のやろうとしてたことをちゃんとみんなに伝えなったのは私もいけなかったから」
「真央…!」
「ちょっと焦ってたのは私も一緒だったの」


でも、みんなが自分の手でサッカーする場を奪うようなことはもうしないでね。
そういえばみんなはほっとしたような顔をして、それでいてああ!とかはい!とかしっかりとした返事をしてくれた。


「真央、俺達は雷門中サッカー部なんだよな」
「うん」
「確かに、その責任は常に感じていないとな」
「風丸くん…」
「よーし、みんな!サッカー部の誇りにかけて、フットボールフロンティア1回戦勝ちにいこうぜ!」
「オーッ!」


…よかった。私の思いは伝わったみたい。視線をさらに上に上げればそこにはいつもみたいに優しく、だけどちょっと申し訳なさそうな顔をした修也がいた。きっと私も似たような顔をしてるんだろうなあ。なんとなくそんな気がしながら私は目の前の彼にそっと笑いかけていた。



「…だけどまずはその秘伝書を解読しないとな…」
「……え?どういうこと?」



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ヒロインが理事長室に登場したのは夏未の「読めないもん」発言のあとだと思ってください