◎秘伝書解読!「イナズマ落とし」を完成させろ!
「……よし!じゃあ始めよっか!」
円堂の特殊能力と修也の読解力によってようやく新必殺技のかたちが見えた私達。その名も「イナズマ落とし」だ。時間もないということもあって早速2段目組の修也、風丸くん、染岡、付き添いの私も特訓を開始、したんだけど。
「行くぞ!」「おう!」
「もう1回だ!」「ああ!」
高くジャンプしてから空中で1回転して着地。簡単なようで実際は難しい。1人の力ならまだしも、他人の力も借りてさらに高く飛ぶのだ。相手との息も合わせないといけない分、これが本当に難しい。
何よりもどんどんボロボロになっていく2人の腕。背中を強く打ち続ける修也。これを見ているのが本当にツラい。万が一の時に備えて3人に付き添っていてと秋に言われてここにいるけれど、果たして何が『万が一』なのかもよくわからなくなっていた。
「お姉ちゃん、いいの…?」
1段目組と2段目組を行ったり来たりしていたはずの春奈も気付けば私の隣にいた。大切な人が傷だらけになっていくのを目の当たりにしているのだ。きっと3人の身体の心配もそうだけど私の心の心配もしてくれたんだろうな。本当にいい妹だ。
「……ほんとはね、今すぐ止めさせたい」
「お姉ちゃん…」
「…だけどね春奈、見て」
「え?」
「なあ、もう止めねえか。お前もうボロボロじゃねーか」
「ハァ…ハァ…、そっちこそ」
「俺達ならこのくらい大丈夫だよ。それよりお前、」
「俺だって大丈夫だ!」
「……!」
「ね?止めても無理そうなの」
あんなに必殺技を完成させるために頑張っているんだもの。だからやめてなんて頼むことは私にはできないな。
そう言って苦笑すれば負けず嫌いな人なんだねと春奈も同じように苦笑してくれた。
「みなさーん!あと少しできっとできますよ!」
「さっきよりいい感じだったよ!頑張って!」
「ああ!」
「おう!」
…ほんと、普段からは想像出来ないくらいの負けず嫌いっぷりなんだから。もう一度立ち上がった彼を見てそんなことを思った。
しばらくして修也は両足での着地に成功する。心底安心したのか急に倒れた時は驚いたけれど、“ようやく三分の一ってところか”という彼の言葉にときめいた私はサッカー選手としての修也にも相当惚れ込んでいるのかもしれない。
「修也、お疲れさま」
「ああ」
ベンチに座る彼の横顔を見ながら久々にこんなに熱い修也を見たななんてふと思った私なのでした。