◎えんどうとおしゃべり!
「えーんどう」
「お、真央!」
「お疲れさま。はいこれ」
タオルとドリンクをセットで渡したらありがとな!って太陽のようなまぶしい笑顔を向けてくれた。うん、やっぱり彼の笑った顔はすきだ。心があったかくなるというか、幸せを分け与えてもらった気分になる。
「修練場はどう?なれてきた?」
「おう!まだちょっとキツいけどなー」
「多少きつくないと駄目だよ、修練場なんだから」
「ははっ、まあな!」
そして円堂とはこうやって冗談を言い合える仲になった。気軽に話せる男友達、私にとって彼はそんな存在だ。
え?彼氏には浮気って疑われないかって?ぜーんぜん。だって修也、円堂のこと尊敬してるもん。心を許しているというか、絶対的に信頼しているというか。だから円堂とこうして2人でお話してても何も言われないよ。第一そこまで心の狭い人じゃないしね。
「……なあ真央」
「んー?」
そんなことを思っていたら急に真剣な声をした円堂に名を呼ばれた。どうしたんだろう、さっきまであんなに楽しく笑いあっていたのに。「へんなこと言ってもいいか?」「え、なに?」何がどこまで変なことかはわからないけれど、話を聞いてみないともっとわからない。そう思った私は彼に言葉を続けるよう促した。
このあと私はまさか円堂の口からそんなことが出るなんて、と心底驚くことになる。
「……あのさ」
「うん」
「………ごめんな」
「はい?」
なんで私謝られてるんだろう。全くもって意味がわからない。というか円堂は一体何に対して謝っているの?昨日の帰り道に私のグミを全部食べちゃったこと?理科の授業中に私語が多いって2人して先生に怒られたこと?それとも休憩中に2人でボールを蹴り合っていた時に円堂がミスって染岡の顔面にぶつけちゃって一緒に正座させられたこと?だけどどれも大したことじゃないからなあ。(え、途中からは大したこと?)
そんなに真剣に謝ることでもないよね。うーん、わからない…。
「…………」
「…ぶはっ!真央、顔がヤバい…!」
「こら円堂、真剣に考える乙女に向かってなにをいう」
「だってさ、そんなに眉間にシワ寄せなくても…!端から見たら怒ってるみたいだぜー!」
けたけた笑う円堂の頭を持ってたボードでパコンと叩く。全く、失礼しちゃうな。まあ確かにすごい顔してたっていう自覚はあるけど!
それより問題は、だ。「なんで円堂は謝ったの?」一瞬きょとんとした顔をして、それからああなんて両手をぽんと叩いて(うん、自分から言い出したこと忘れてたのね)。円堂はすうっと深呼吸をしてからこんな話をしはじめたんだ。
「だからさ、この間のこと」
「この間?」
「ほら、御影専農とのさー」
「…ああ、そういうこと」
目が合えば苦笑する2人。その先はもう言葉にしなくても察することができた。
要するに円堂は自分から勝負を申し込んでおいて負けてしまったこと、それから私の彼氏の必殺技がパクられたことにショックを受けていないかどうかということが言いたいのだろう。いかにも仲間思いな円堂らしい話だ、うんうん。ちなみに私の答えは。
「全然大丈夫だよ、気にしないで」
ふわりと笑ってそう言えば、円堂はとても安心したようだった。
「むしろ豪炎寺の方がショック受けてるか」
「うん、ショックもあると思うけど…でも修也、負けず嫌いだから。逆に火がついたかもしれないよ?」
「ははっ、そっか。だったら俺も負けてらんないよな!」
「そうだよその意気その意気!要は本番で相手のシュート止めればいい話なんだしさ!」
「だよな!」
よーし、燃えてきた!そう言いながら立ち上がった円堂。へへっと笑えば私に向かって拳を突き出してきた。もちろん、同じように私も拳を突き出す。「次の試合も絶対勝つ!」「頑張れ、雷門の守護神!」コツンと軽くぶつけ合い一緒にニカッと笑った。うん、やっぱりこれぞ“円堂守”だよね。
修練場でのハードな特訓頑張ってね、円堂キャプテン!
その後休憩はとっくに終わってるんだぞ!と染岡に2人して怒られたのはまた別の話だ(もう、そんなに怒らないでよ!)。