◎だいすきなひととの再会
※豪炎寺視点
円堂達のサッカーに惹かれて、理事長の娘に諭されて。
また新たにサッカーに関する一大決心をした次の日、信じられないことが起こった。
「えー、今日は始めに転校生を紹介する」
事の発端は朝のHRの時の担任の一言だった。
つい最近、俺が転校してきたばかりなのにと周りからは驚きの声が上がっている。
先生までうちのクラスはよく転入してくるなあなんて言ってるし。まあ、驚いてる割りにはのんびりした声だったけどな(果たしてそれでいいのか、先生よ)。
もちろん、このことは俺自身も驚いた。だが、俺が本当の意味で驚いたのはこの後だ。
「入ってきてくれ、菊地さん」
「……!」
先生が呼んだのは俺にとって聞き慣れた名前。正直ドキッとした。まさかその名前が先生の口から出てくるなんて思わなかったから。いや、でもまさかそんなはずはないだろ。そう自分に言い聞かせてはみるものの、視線はこれでもかというくらい教室の扉に向けられている。
直後、開かれた扉から覗いたのは日に当たると透ける茶色くてふわふわの髪、ルビーのような紅い瞳、そして手首に光るスカーレットのブレスレット。それは俺がよく知る人物だった。
彼女はどこか不安そうな表情のまま教室をぐるりと見渡した。そして、俺と視線が合えばふわりと嬉しそうに笑い、自己紹介よりも先にこんな言葉を発した。
「よかった。修也いた」
「お前、なんでここに…!」
「あれ?豪炎寺、知り合いか?」
前の方に座る円堂が後ろを振り向き訊ねてくれば、クラスメイトも皆同様に此方を向いた。が、生憎今は気まずさや恥ずかしさを感じている場合ではなさそうだ。
クラスメイトはそのまま俺とあいつを交互に見ていた。彼女はというと自分が発した言葉で注目されることになったとはいえ、初めて会った人からの強烈な視線に耐えられないのだろう。「あ…えっと…、」どうしたらいいか分からずに遂には俯いてしまっていた。
仕方ない、助け船を出してやるか。俺はハァ、と小さく息を吐き出してから意を決して言葉を紡いだ。
「……彼女は木戸川清修から来た菊地真央、」
俺の幼なじみで、大事な彼女だよ。
そのたった一言で教室内が今までにないくらい騒がしくなったのはいうまでもない。