SH:HC
考察
最初に、裏世界と異空間はほぼ同一の物として考えており、裏世界=異空間と言っても過言ではないのではないかという事を記述しておく。
さて、まずは『裏世界』がどういった物であるかの解釈から述べていこう。
裏世界とは、簡単に言えば『誰かの願い(妄執)や、その犠牲者の苦痛』などを織り交ぜて『誰かの罪』を抽象的に示しているものではないだろうか。
そして、その妄執や苦痛などから生まれるのが、大型のクリーチャー(スカーレットなど)だと思う。
作品内で度々裏世界になっているが、その全ての裏世界が、総合してアレックス本人が潜在的に抱えている罪を示していると私は思う。
つまり、この作品での裏世界は『誰かの妄執、そして犠牲者の苦痛から生まれた罪の世界』ではなかろうか。
何故か。
それは、いくつかの裏世界での出来事をあげる事で照明していきたいと思う。
まず、一つ目。
病院で目覚めたアレックスだが、何故病院だったのかというのは、後々明かされる『実はアレックスは精神病院に入院していた』という話が関係している。
何故精神病院にいれられたのか、ここでは考察しないが、この裏世界では、最後にエレーベーターの中で三角様の武器で刺されている。
それはつまり、アレックスには三角様に断罪されるような罪があるという事を示唆しているのではないだろうか。
だが当の本人はその罪を知らない、或いは忘れている。
そのことから、ここでは罪を忘れた事が『罪』だと言っているのではないかと私は考える。
次、二つ目はバートレット市長が関係していた異空間からの裏世界。
そして、その後のフィッチ先生が絡んでいた裏世界。
後半にある、マーガレットが関わっていた裏世界。
これらは、アレックス自身が感じる直接的な罪というよりは、教団が関係した事で間接的に罪となった出来事の暗示。
シェパードグレンの創始者達は教団を抜けたが、神の怒り恐れ安全を守る為の契約をした。
その契約が、五十年に一度、創始者達(そしてその家系の者)の子どものうちの一人を生け贄として捧げる事。
シェパード家ではアレックスが生け贄のはずだったが、アレックスが起こした事故によりジョシュが死んでしまった。
それにより契約は破棄されてしまった事になるので、創始者一族に取ってはアレックスは罪人。
そうやって、間接的に負わされた罪が、この三つの裏世界で暗示されているのだろう。
そして、その一つ一つでは、市長・医師・判事のそれぞれの罪にも触れられている。
最後、祭壇の間から入った裏世界。
ここはもう、完全にアレックスがジョシュを事故で殺してしまった罪の現れ。
罪を認めたくない、もしくは信じたくないというアレックスの妄執。
そして、死んでしまったジョシュの苦痛。
それらが複雑に絡み合い生まれた、アレックス自身の罪の世界。
以上の事から、私は裏世界は『誰かの妄執、そして犠牲者の苦痛から生まれた罪の世界』であると解釈した。
では、ここでストーリー全体を通して、私が何かしらの意味を探し出せたものを最初から順にまとめていきたいと思う。
一つ目、これは先程述べたものと同様。
最後に断罪者である三角様に断罪されていた事から、アレックスには罪があるという事実を示唆しているだろう。
二つ目、バートレット市長の裏世界。
彼は息子を殺し、酒に溺れる事で逃げていたように思う。
自分子どもを殺すのだから、酷い親なのかもしれない。
だが、彼は会話の中で『息子が愛した庭で死にたい』と言っていた。
それはつまり、彼にも子を愛する気持ちがあったのだ。
しかし、何らかの理由でその愛する子どもを殺さなければいけなかった。
その結果裏世界が生まれ、そこには埋められた子どもがクリーチャーとして現れている。
ここで示唆されるのは、殺しても、殺そうと思っていても、親は子どもを愛していたのだという事だと思う。
アレックス自身には伝わらなかった、父や母の愛情を、間接的に知らせているのではなかろうか。
三つ目、フィッチ先生の裏世界。
彼は、自分の娘を殺した事を悔やみ、許しを乞うていた。
自分の罪を自覚し、償いと願う気持ち、許しを願う気持ちが強く現れていたように思う。
アレックスも、心のどこかでそう願う気持ちがあったはずだ。
だが、本人に取って重たすぎる罪は、精神崩壊を引き起こすもので、アレックスの時は止まってしまう。
更に、ここでは会話中に『罪を忘れてはならない』というような発言もされている。
そのことから、アレックスは罪を忘れていると言うことを。
そしてフィッチ先生の過剰なまでに許しを願っている様子から、アレックスが罪を自覚していない、或いは罪を忘れているということを暗示しているのかもしれない。
四つ目、母親を撃った後に現れた裏世界。
ここでは最終的にハロウェイ判事の娘がボスクリーチャーとして現れている。
つまりは、ハロウェイ判事にも、何かしら裏があるという事が明らかになるわけだ。
その後ストーリーが進んでいくと、ハロウェイ判事の口から、教団のこと……というよりは今回のこの奇妙な事件の原因が明かされる。
創始者達がした契約がアレックスの罪によって破棄され、皆が呪われてしまったというものだ。
つまり、ここで漸くアレックスには本人の知らないところで罪を背負わされていた事が明らかになる。
そして父親の死の場面で、自分が精神病院にいれられていた事が判明し、一番最初に病院の出来事、そしてそこで見つけたロボトミー研究の実験にアレックスが使われていた事がわかる。
ジョシュの死の記憶が抜けているのは、この手術も関係しているのだろう。
五つ目。
祭壇の間でアレックスが罪に気付き裏世界へ。
アレックスは、この裏世界に入る状態になった時に漸く自分自身の罪に気付く。
事故とはいえ、自分が弟のジョシュを死に至らしめる切欠に気付いてしまう…というよりは思い出すと言った方が正しいか。
だがこの段階ではまだ罪に気付いただけではないかと思う。
つまり、罪を抱えているだけの状態だ。
だが裏世界でジョシュが変異したクリーチャーと戦い、勝利する事で、本当の意味で罪を認める事になる。
罪を認め、受け入れたのが、このラスト裏世界で示されている。
というのが、私が思うそれぞれの場面の意味であったり、明かされる謎であったりする。
最初の考察で、裏世界は『誰かの妄執、そして犠牲者の苦痛から生まれた罪の世界』である、と言ったのを覚えているだろうか。
だが私はそれだけではなく、裏世界は現実のようではあるが夢のようなものでもあるものだとも思う。
だからこそ、物語前半では裏世界(或いは異空間)に入る際に何らかの理由で意識を飛ばしている。
最初の病院では、アレックスは実際は故郷に帰る為のトラックの中で眠っており、夢を見ているような状態という『夢オチ』であった。
そして次のサイレントヒル(異空間)にいた時は、そこで目覚める前に頭痛の様なものから意識を失っていた。
3つ目は、スカーレットの人形に触れた時に前述同様頭痛かなにかで気を失い、目覚めたら裏世界であった。
更に自分の家で裏世界に突入していた時は、その前に教団の連中により昏倒させられていた。
よって、裏世界或いは異空間というのは、『現実であり夢である』という、非常に境の曖昧なものであると私は考えた。
物語後半で、裏世界に入る切欠や裏世界が解けているのかいないのか判断つけ難い状態になっていたのは、表と裏の境界が曖昧になっていたからではないだろうか。
私がはっきりと曖昧になっているなと感じたのは、母親を撃ち殺す辺りからだ。
再開した母親から聞かされた、実は両親に愛されていたという言葉や、意味深な言葉。
母の言葉の真の意味はわからず、その上自分の手で殺したというプレッシャー。
その他にも、それ以前の度重なる奇怪な出来事や、そこから少しずつ頭に入ってくる要領の得ない様々な情報。
中々求めるところに辿り着けない、確信に近付いているのかどうかもわからない焦り。
それらの要因が幾重にも複雑に絡み合い、アレックスには迷いや疑問がいくつも生まれる。
そういったアレックスの混乱の象徴として、表と裏の境の曖昧さが出たのではないだろうか。
それから、最初からシナリオから最後にアレックスがラスボスクリーチャーを倒すまで。
アレックスからジョシュが逃げ回っていて捕まらなかったのは、彼がもうアレックスの手では触れる事の出来ない場所にいるということを示しているのではないか。
今のところ、私なりの解釈で語れる考察はこんなところだ。
よって、今回の考察はここで終了したいと思う。