Yandere
病んでる宮地さん
私の彼氏はちょっと危ない
世間一般で言う、所謂ヤンデレに属する人である
「?!」
「っと、ごめん!」
あぁ、やってしまった
彼氏のヤンデレ具合について考え込んでいて
前から人が来ている事に気付かなかったらしい
「ほんとにごめん。怪我してない?」
「大丈夫です、こちらこそすいません。ちゃんと前見てなくて…」
正面からぶつかってしまった相手が申し訳なさそうな顔をする
そんな顔しなくても、悪いのは前を見ていなかった私なのに
「いや、俺もちゃんと前見てなかったし、お互い様だよ」
「はぁ…」
「とにかく怪我はないみたいで良かったよ。怪我させたなんて知られたら殺されかねないしww」
「え?」
「君宮地の彼女ちゃんでしょ?」
「あ、はい。一応…」
「なんでそんな自信なさげ?ww」
なんてことだ
まさか先輩の知り合いだったなんて…
早く会話を切り上げないと…
「何してんだ?」
「?!」
さてどうやって相手を躱そうか…
なんて考える暇もなかった
「先輩……」
噂をすれば影とはよく言ったものだ
まさかピンポイントで先輩が来てしまうとは
あぁ、もう本当にやばい
「おい」
「っ」
「ちょっと宮地!落ち着けって!」
咄嗟に何も言えずに言えると
先輩の語調が鋭くなる
そこに割って入ってきたのはぶつかってしまった相手で
有り難くも迷惑な行為に内心でため息が出た
「俺が前見てなくてぶつかっちゃっただけなんだ。彼女は悪くないから、そんな怖い顔すんなって」
「……そうか」
「そんな心配しなくたって、誰もお前の彼女取ろうなんて思わねえよ。溺愛してんの丸分かりだし」
「うっせ。こいつが隙だらけだから心配になるだけだっつの」
「はいはいごちそうさまwwんじゃ俺次移動教室だからもう行くわww」
「おう」
先輩達のやり取りに口が挟めない
元より挟むつもりもないが、それよりも今はここから全力で逃げ出したい
「茉莉乃」
「っ?!」
ぶつかった先輩が去ってすぐ
頭上から降ってくる声に反射的に肩が揺れる
しかしそんなことはお構いなしに
先輩は私の手を掴むと何処かへと歩き出した
何処か…なんて、考えずとわかってはいるけれど…
バンッ
「?!」
少しして、人気の無い屋上に辿り着くと
先輩は少しの間も置かずに私を壁に押し付ける
「っ……ん、はっ…、」
同時に私の唇を塞いだ先輩のそれ
そのまま舌を差し込まれ、息も出来ないほど口内を蹂躙される
ちゅっ……ちゅく…
「ぁっ、ん……っ」
耳朶を打つ水音
羞恥を煽るそれが
態と出されている物だと言う事は
もうとっくに気付いている
「っ、は…っ」
「んっ、んぅ…っ、せ、んぱ…っ…?!」
あぁ
この人はいつもそうだ
どれだけ私が酸素を求めて懇願しても
それをすると拒んでより口付けを深くする
まるで
自分が吐く息で呼吸をしろと言うように
「はっ……茉莉乃…」
「っ、は…、はぁ……?」
漸く解放された頃にはもう息も絶え絶えで
押し付けられた壁に体重を預けなければ立っているのもきつい
呼吸を整えていると
先輩が私の名前を呼んで頬を撫でるのも、いつもの事
「あいつと何話してたんだ?」
「…私が前を見てなくてぶつかったから、ごめんなさいって」
「それだけであんなにあいつが笑うわけねえだろ」
「それは…多分、私が先輩の彼女だったから…」
「は?」
「っ!」
よほどさっきの事が気になるようで
先輩は私の目を覗き込んで確認してくる
疑う視線が嫌で説明をしていたのに
その途中で先輩の声のトーンが下がった
「あ、えと…変な意味ではなくて!その、先輩が…私の事すごく大事にしてて有名だって。だからもし私に怪我させちゃったら、俺が怒られるって、あの人笑ってて」
「ふぅん……」
「…先輩?」
「それさ、あいつの事庇ってんの?」
「?!」
誤解を解きたい一心で言葉を重ねてみたが
どうやら裏目に出たらしい
「なぁ、答えろよ」
「ちが…庇ってるとかじゃなくて、ほんとに……っ」
私の言葉に嘘を探そうとする目
この目だけは、好きになれない…
「私、先輩に嘘なんて言いません。あの人を庇ったりしてない。本当にそう言ってたんです」
好きにはなれないけれど
この目から逃げれば、それだけ先が酷くなる
それはもう、嫌と言う程身に染みているから
私は嘘を探す先輩の目を正面からちゃんと見る
「……悪い」
暫くジッと見つめ合っていると
先輩は罰が悪そうに視線を逸らす
「そうだよな。お前が俺に嘘なんか言うわけねえよな。疑って悪かった」
そう言って私の頭を撫でる先輩の目は
いつもの私が好きな目で…
「せんぱいぃぃっ」
「あー、悪かったって。泣くなよ」
「だって、先輩全然信じてくれないんだもん…っ」
「仕方ねえだろ。お前の事、マジで好きなんだよ。俺以外の男と話してるとこ見ただけでぐちゃぐちゃになるくらいな」
「そ、れは…わかってますけど…」
「わかってんなら止めろっていつも言ってんだろうが」
「ちゃんと気をつけてます…」
「じゃあなんでさっきあんな事になってたんだよ」
「…ちょっと、考え事してて」
安堵から零れた涙を先輩の唇が拭う
いつもいつも
私が男子生徒と話している所を見ると大体先輩はこうなって
私が泣いて
最終的には…
「俺が怒んのわかってて、何で考え事なんかすんだよ」
私の不注意がいけないと
こうして先輩が私を怒る
「一体何考えててぶつかったんだよ」
「う……それは…………」
スッと目を細める先輩
ヤバいくらい怒ってる
「茉莉乃」
「……はい」
「言え」
「………はい」
答えあぐねる私を鋭く捉え
先輩は私の逃げ道を潰す
こうなれば躱す事は不可能なので正直に答えるしかない
とは言え【先輩のヤンデレ具合がやばいと思ってました】なんて馬鹿正直に答えすぎると
確実に痛い目を見る事はわかっている
「………」
「……先輩の事考えてました」
無言の圧力をかける先輩に簡潔にそれだけ
間違っても嘘ではない3割程度の事実を答える
「へぇ…」
あ、自爆した
「なぁ、それ狙って言ってんの?だとしたらそんな手口誰に教わったんだよ」
「ね、狙ってないし誰にも教わってないですっ。ていうか先輩?!」
「あ?んだよ」
「何じゃなくて…ここ学校……っ」
「んなのわかってるっつの」
「だ……」
だったらスカートの中に差し込まれているこの手はなんだ?!
「うぁっ、ちょ……せんぱ…っ」
「お前ほんと可愛いよな。このまま、四六時中俺の事しか考えられないようにしてぇ…」
「あっ!」
スルスルと太股を撫で上げながら
先輩はクツクツと笑う
有言実行されそうな辺りが怖いが
仮に実行するとして
一体何をされるのかと考えるとお腹の辺りが重くなる
「その顔いいな」
「っ…?」
「お前今、すっげぇ期待した顔してる」
「!?」
目を細めて楽しそうに、嬉しそうに笑う先輩
耳元で囁かれた内容に息が止まるかと思った
期待なんかしていない
即座に答えられなかったのは
きっとそれが図星だから…
「期待されたからには応えねえとな」
「せ、せんぱ…」
先輩がグッと膝を割り込ませる
なけなしの抵抗として先輩にしがみついていた両手は
とっくに頭上に纏め上げられていて意味を成していない
「そうやってずっと俺の事だけ見て、俺の事だけ考えるように…」
太股を撫でていた手が
内側から外へ
足の付け根へ
そしてお腹の方へと上がってくる
「お前ん中全部俺で満たして」
俺なしじゃ生きられなくしてやる
「…っ」
先輩の手が下腹部の辺りを圧迫する
まるで子宮を鷲掴みにするようなその行為でさえ
私の心を疼かせるのだ
「まぁ…」
「…?」
「ここは【学校】だし、今はやらねえけどな」
学校
という単語をやけに強調する先輩
楽しげに細められた目で言わんとする事を察して
なんとも言えない気分になる
「何残念そうな顔してんだよ」
「…してないです」
「嘘つき」
「!」
言うや否や
先輩が再び私の唇を塞ぐ
「んっ、んぅ…っ、はっ……あっ!」
「は……、ほんとはすぐにでも犯されたい癖に、強がんなよ」
「あ、ぅ…ちが……そんなこと…っ」
「じゃあこれはどう説明するんだ?」
「?!」
舌を弄びながら脇腹を擽る先輩の指先
無意味だとわかっていても否定を吐く私に
先輩は至極楽しそうに笑いながら
いつの間にか下ろされていたその指先を下着の中に滑り込ませる
「想像だけでこんなどろどろにしといて、言い逃れなんかできる分けねえだろ。正直に言え。俺に嘘はつかねえんだろ?」
くちゅり…
聞こえた音に意識が溶けそうになる
「せんぱい…っ」
だが学校と言う場所でその言葉を口にするのはやはり憚られるもので
私は許しを請うように先輩を見上げるしかない
しかし……
「ダメ。ちゃんと言うまでは止めてやんねえから」
無情にも先輩はそう言い残し
遊ぶ指先を休めてはくれない
「…っ、ふ……っ」
「ほらどうした?言わねえの?」
「ん…っ」
指と言葉で責め立てる先輩
「なぁ、茉莉乃…」
「ぁ…っ?」
「早く言えよ」
「あっ!」
そう囁いて
先輩が一番敏感な場所をすり上げる
頭の中で何かが弾けた
「っ、きよし…せんぱいっ」
「ん?」
名前を呼んで見上げれば
口の端に笑みを浮かべて態とらしく首を傾げる先輩がいる
「はっ、…っ、お、ねが…っ」
「……」
「ん…、わたしのなか……せんぱいで、いっぱいにしてほし…ふあっ!?」
ずっと頭を支配していた言葉を口にするが
最後まで言わせて貰えないまま
私の口からは嬌声が飛び出す
「ぁっ、あ…っ、んぅっ!はっ、せんぱ…っ!」
「馬鹿、声抑えろ。誰かに聞かれたらどうすんだよ」
「っ?!」
容赦なく内部を責める指に溢れる声
けれどクツクツ笑う先輩の指摘に
反射的に口を固く閉じる
「ん、く…っ」
「良い子だ。そうやって我慢しとけよ。その声もこの表情も…全部俺のもんだからな。誰にも見せてなんかやりたくねえんだ」
「ふっ…ぁ……っ!」
時間を考えれば誰も屋上になど来ない
そんな事、少し考えればわかる事なのに
色に捕らわれた頭では先輩が紡ぐ言葉全てに緊張が走る
「ぅ…ん……っ、せ…ぱ……っ」
「イっていいぞ。素直に答えられたご褒美な」
「は……ぁ…〜っ!!」
キュッ
と、快楽に塗れた蕾を先輩の親指が押しつぶす
中で暴れ回っていた指と相まって
私はそのまま波に飲まれた
「はぁ……はぁ……っ」
頭上に括られていた手が解かれて
力の入らない身体が壁伝いに落ちていく
「茉莉乃」
「…?」
「ほら、捕まれ」
「……」
「保健室まで連れてってやるから、次の授業休め」
「ん……」
先輩が力の抜けた私の身体を抱き上げる
そして…
「先生いねえな…まぁいいか。下ろすぞ」
保健室につき
先生が不在なその場所に備え付けられているベッドへと
先輩が私を下ろす
「授業が終わったら迎えに来るから、それまで良い子でここで待ってろよ」
「…はい」
「ん。じゃあまた後でな」
「…いってらっしゃい」
「おう」
ゆるり
私の頭を一撫でして
先輩はクルリと背を向ける
「あぁ、そうだ」
「?」
「続きは放課後…」
俺の家に帰ったらな
「?!」
最後の最後
私の中に小さな熱を灯す事を忘れずに……