350年前
ミルス・クレア創始者の1人、ファタ・モルガナがまだ実体を持って存在していた時代の事
魔法の暴走で現代から過去に来てしまったルル達は
モルガナの血の繋がらない娘である陛下と出会う
なんでも陛下は亡国の姫らしく、たった1人の生き残り何だとか…
しかも陛下にはとある強力な呪いがかけられているとかで、
それを知ったルルは自分達が現代に帰る方法を探すのと同時に陛下の呪いを解く方法も探すと豪語する
陛下はそれに感謝を抱き、協力できることはなんでもするとルルに伝えるけれど
その実気持ちはとっくに諦めていて、来たるべき時までの残された余生を満喫する事に重きを置いていた
そしてその残された時間を満喫する為に陛下がまずとった行動は
アルバロのそばにいる事
気まぐれで自由奔放、退屈を嫌うアルバロのそばにいれば、
自ずと自分も退屈せず、かつあっと驚くような日々を送れると思ったのである
最初こそ面倒くさがっていたアルバロだが、
断固として諦めない上にお姫様とは思えないほど大胆で行動的な陛下に徐々に興味を持ち始める
対する陛下もアルバロを追いかけているうちに気持ちに変化が現れ始め
いつしかこの先も生き続けたいと願うようになる
少しずつ惹かれ合う陛下とアルバロ
けれど現実とは残酷なもので、結局呪いを解く方法も見つからないままルル達が現代に帰る日が迫る
時が来てルル達が現代に帰る前日
それは奇しくも陛下が16歳を迎える日
最後に話があるからとアルバロを城の外へ誘う陛下
向かうのは陛下と、おそらくモルガナしか知らないであろう森の奥に隠された小さな塔
螺旋階段を登りてっぺんの部屋に入ると、何故かそこには陛下にも見覚えのない糸車が……
不思議に思った陛下がそれに触れるのと、とある童話を思い出したアルバロが陛下を止めるのとはほぼ同時
糸車の針に指を刺されてしまった陛下はその場で胸を押さえて苦しみ出し
アルバロは急いで常備していた解毒薬を飲ませる
が、陛下の状態は良くならない
息も絶え絶えになりながら、陛下は無理矢理に笑みを貼り付けるとアルバロに自分の思いを告げる
1人残された日からいつ死んでも構わないと思っていた事
アルバロと出会ってからはずっと一緒に行きていたいと願うようになっていた事
アルバロが好きである事
息苦しさで瞳に涙をためながら、それでも笑ってアルバロにそれだけ告げた陛下は、やがて静かにその瞼を閉じる
息を引き取った陛下を部屋に備え付けられていたベッドに横たえて
アルバロは自身もいつからか陛下を好いていた事に気づく
けれど陛下はもう動かない
自分を見て笑う事も……
急速に熱が冷めていくアルバロの心情
そもそも自分と陛下は住む時代が違うのだから、過程はどうであれ離れ離れになる結末は変わらない
自分に言い訳するように胸中でつぶやいて、アルバロは眠るようにベッドに横たわる陛下の瞼に一つキスを落とす
そして現代に帰り、おそよ1ヶ月
学校の裏手にある森の奥深くに荊に囲まれた塔があり誰も近づけない
それはまるで王子の来訪を待つ眠り姫がいる城のようだ、という噂を耳にするアルバロ
記憶を辿るに森へ入り、奥へ奥へと進んでいくと、そこには荊に囲まれて物憂げに佇む塔がある
しかしその荊はアルバロが塔に近づくにつれ徐々に後退していき、あっさりとその入り口を晒してしまう
螺旋階段を登りてっぺんの部屋に入ると、そこにはあの日の姿のままベッドに横たわる陛下がいた
驚きを隠せずにベッドへと近づいて、ピクリとも動かない陛下を見下ろす
ふと、かの童話の結末を思い出すアルバロ
自分はそんな柄じゃないし、どちらかというとお姫様の命を狙うの悪者の方だ
そんな自覚はあるけれど、あの日々が今もなお色褪せずにアルバロの中にある
柄にもなく奇跡を祈りながら陛下の唇にキスを落として、その目に再び自分が映り込むようにと顔を覗き込む
すると、死んだはずの陛下の瞼がピクリと揺れ、徐々にその御簾を上げていく
時を超えて奇跡を生んだ2人の物語は、まさに童話にふさわしいハッピーエンドでした…