狙われるのは陛下
屋上
突き飛ばされる
一方的な感情
思い込み
妄想
混在
小学校の頃からの記憶
最後の敵
倒したら陛下の記憶が完全復活
せなVS陛下のターン
関係性や過去の問題などは前述の通り
引き続きこの学校…延いては異空間から脱出する為の手段を模索する中、一人の少女が現れる
霧崎の制服で【三浦せな】と名乗った彼女は、確かに花宮の記憶とも一致している霧崎の生徒である
せなは陛下に親しげに話しかけるが、陛下はせなの事がわからず困惑
最初こそ冗談だよね?と笑っていたせなだが
陛下が本気で自分を覚えていないとわかると態度が一変
酷い酷いと陛下を罵り始める
ずっと友達だったのに忘れるなんて酷い。どうして忘れてしまったの?新しいお友達が出来たから?だから私の事は忘れてしまったの?私はもう友達じゃないの?
と反論する隙間すらなく捲し立てるせな
やっぱりその人達がいる所為で…と宣うので全員警戒、陛下も厳しい表情を浮かべるが
そんな陛下の顔を見てせなは笑う
大丈夫。その人達を傷つけるつもりはないよ。大好きな貴女のお友達だもの、傷つけたら優しい貴女は苦しい思いをするでしょう?私は貴女を苦しめたくはないの。だって大事な大事なお友達だもの。私はただ、貴女と一緒にいたいだけ。貴女とずっとお友達でいたいだけなの。だから、ねぇ……私の為に死んでくれる?
とニコニコ笑うせなに全員唖然
なんだそのぶっ飛んだ理論は…と呆然とするが
死んで、私と一つになろう?そうすればずっとずっと一緒にいられるもの
と言うや否や、せなの体が変形して行く
頭部や首元から複数の顔が生えだし、そのどれもが全て違う顔
中には陛下の顔まである多頭生物(化物)となり、全員違う顔だが一律して全てニヤニヤといやらしく笑っている
そして宣言通り陛下を殺しにかかるせな
時には武器を使い、また時には超常的な力を使い
とにかくあの手この手で陛下を殺そうとしてくる
そしてそんなせなから逃げ回りつつ打開策を探す一同
しかしこれといった手だてもなければ、陛下の記憶が戻る気配もない
見つかって殺されかけては逃げてを繰り返す陛下達
そんな中、変形前の姿のせなが姿を現し【屋上】とだけ告げて姿を消してしまう
屋上に行くべきか否かの議論がされるが、陛下本人の直感で嫌な感じはしなかった…と言う事で選抜隊で屋上へ
屋上に何かあるのかと探索開始
陛下はプールサイドを見ていたのだが、不意に名前を呼ばれて振り返るとそこには異形のせなが…
トンッと肩を押されて傾ぐ体
浮遊する感覚に襲われるのと同時に頭の奥でクラクションが響き、記憶が蘇る
誰かが自分の名前を呼んで手を伸ばす
それが誰なのかを確認したくて震える焦点を定めると、そこにいたのは何故か自分で…
何かがおかしい。これは一体誰の記憶?
ってなった所でブラックアウト
次に目が覚めたらずぶ濡れの状態で体育館
ポカンと周囲を見渡す陛下に何があったか覚えているかと尋ねると、途端に怯えた表情になり
嫌だ
痛い
と頭を抱えて蹲る陛下
困惑する周囲
錯乱状態の陛下に大丈夫かと手を伸ばし、肩に触れた瞬間
弾かれたように顔を上げた陛下の顔が恐怖に染まり、次の瞬間には悲鳴を上げて暴れだす
嫌だ、助けて、死にたくない、と叫びながら暴れる陛下
誰の言葉も聞こえていないようで手を焼いていると
屋上に向かう前に現れた半透明なせなが再び現れる
せなが陛下の心臓付近に触れた途端、ピタリと大人しくなる陛下
そのまま意識を失い、苦しげな表情のせなだけが残る
バスケ部はせなに説明を求めるが、せなは一切口を開かない
痺れを切らした誰かが掴み掛かりかけるが、その前に陛下が頭を押え呻きながらも覚醒
大丈夫かという問いかけに問題ないと答えつつ、たった今思い出した記憶を話し始める
小学生の頃に苛められていたせなを助けている事
それ以降あまり関わる事はなかったが、同じ高校に入学していた事には気付いていた
近寄りがたい雰囲気もあって関わりはしなかったが
そんな彼女が車道に倒れ込む姿を偶然見かけて助けた事
その時に、自分も車に轢かれている事
だがこの話だけでは異形と化したせなが陛下を殺そうとする理由がわからない
その問いかけに陛下はチラリと半透明せなに目をむける
哀しげな表情のまま一つだけせなが頷くのを確認し、再び陛下が話しだしたのはせなの記憶
いじめから助けて貰ったのが全ての始まりであり
最初は純粋な憧れを抱いていたが、引っ込み思案が邪魔をして二の足を踏んでいるうちに
陛下にはどんどん新しい関わりが出来ていった
陛下のようになりたいという気持ちから中学も高校も同じ所を選んでいた為、間近でそれを見ているうちに、どんどん自分の入る隙間がなくなっていく気がして焦るようになった
何度も何度も、色んなパターンでシュミレーションを繰り返したのに全くその通りに行かず
焦りは恐怖に変わり、その恐怖を拭う為に何としてでも陛下と近づきたくて
でも隙間がないから、それなら無理やりでも隙間を作ればいい
陛下を彼らを遠ざけて、開いた隙間に自分が入ればいい
と思うようになる
その為の手段として、せなは陛下に嫌がらせをする事を選んだ
そしてその行為を繰り返すうちに、これは友達である陛下と私の間を邪魔する奴ら(右腕達)から陛下を守る為
と自身の行いを正当化するようになる
しかし高2の冬、路上にてかつて自分を苛めていた相手と遭遇してしまい、口論に
そして言い合いの果てに肩を押され、車道に倒れて行く体と煩いほど響くクラクション
最後の記憶は必死に自分に手を伸ばす陛下の顔と、体に走った鈍い衝撃
ここまでがせなの記憶の全て
何故陛下がせなの記憶を?という問いかけには
私の中に彼女の精神が入り込んでいる
きっと同じタイミングで死に直面しているから精神が混合してしまったのだろう
と陛下は答える
どんな原理かは知らないがこんな異空間が存在して、過去に何かしらあった人間が敵として出てきたり色々起こっているわけだから、そんな現象が起こっても不思議はない
ではせなが複数存在する理由は?
恐らく異空間に紛れ込む時に
陛下に異常な執着を抱えていた部分
事故による死の恐怖に捕らわれている部分
そして、それら全てを客観的に見る冷静な部分が分離してしまったではないだろうか
一つ目は危害を加える存在という事で異形化
二つ目はただそこに存在するだけの精神状態という事で姿はない
三つ目はこの異空間に置いては善の力が強いので、化物ではなく幽体化
三つ目については変質者ではあったが陛下の記憶が戻るように手を貸したり、陛下に対して気をつけるようにと忠告をしたりといい部分もあった男が幽霊のような姿だった事から推測
今目の前にいるせなは害の存在で、警戒する必要はない事は解った
では陛下の中にいるせなと異形のせなはどうすればいいのか…
精神系せなは正常系せなが陛下に触れて気を失った時に自分の中に引き取っているのでもう陛下の中にはいない
したがって精神系せなについてももう問題はない
異形せなについては、完全に自分は陛下の友達と思い込み忘れられている事に憤っているので、まずは陛下がせなの事を覚えている事
それから覚えてはいるけれど友達と呼べるほどの関係ではない事を分からせなければいけない
その上で、根本にある陛下と友達になりたいという欲求を叶えてやれば、自然と正常系せなの中に戻って行くとの事
ちなみに正常系せなはしゃべる事が出来ない
上記の内容は陛下の携帯へのメールという形で伝えている
前半部分は自分がなんとかする
後半の、願いを叶えてやる部分だけ陛下に任せたいというせな
花宮を始め一部のバスケ部は嫌がらせまでしておいて虫が良いと不満を零すが
陛下はそれくらいなら任せろとあっさり引き受ける
賛否両論はあるが、陛下にとっては嫌がらせなどのせなの行動もそこまで責め立てるような内容ではないらしい
伝え方を間違って傷つけた事なんて私にもたくさん
せなも今回伝え方を間違っただけ
根っこにあるのが純粋に仲良くなりたいって感情なら、それを跳ねのけてさらに追いつめるような事は必要ない
という事で異形せなを正常系せなに還元する為に行動開始
体育館の外で待ち構えていた異形せなに正常せなが接近
するりと溶けるように中に消える
次の瞬間にやけた笑みを引きつらせて喚きだす異形せな
否定の言葉を吐きながらのたうち回るうちに、少しづつ頭の数が減って行く
頃合いを見て陛下が近づいていくと来るなと暴れて攻撃をしてくるが、陛下はそれでもせなに近づいていく
攻撃に足を止めながらもせなに近づく頃には、異形の姿から元の姿に戻っていて
目の前に立つ陛下に怯えと戸惑いを浮かべるせな
そんなせなに手を差し伸べて、私と友達になってくれませんか?と陛下は笑顔で告げる
驚きに目を見開いた後、せなは泣きながら今までの事を謝る
自分にこんなことを言う資格はないけれど、それでも私は貴女と友達になりたいです
と泣きながら伝えるせなに
君は君が思うほど臆病じゃないと思うよ?自分の悪い部分を認めるのは勇気がいる。そしてそれによって迷惑をかけてしまった相手に誠意を持って謝る事も、意外と勇気がいったりする。でも君は今、それを何の迷いもなく実行している。確かに人との付き合い方は不器用で下手くそかもしれないけど、その勇気と素直さは君の良い所だと思う。さっき、資格がないって言ってたけど、十分あるんじゃないかな?こういうとき泣いて言い訳するだけの人なら正直ご遠慮願いたいけど…せなとなら、私も是非お友達になりたいな
と伝えると、せなは泣きながらありがとうと言って陛下に縋り付く
そのまま泣き疲れてせなが眠ると、半透明せなが登場
嬉しそうに笑みを浮かべている事から、これで解決である事が窺える
そしてそのまま消えて行く半透明せなと共に、陛下に凭れ掛かって眠るせなの体も透けて行く
せなが完全に消えたところでこのターンは完結